番外補足【階名唱で和声的・旋律的短音階】

楽典では旋律的短音階は、下行に自然的短音階を用いるとされています。
ですが実際には、下行もラソ♯ファ♯ミ…とソ♯やファ♯を使っている例がかなりあるんですね。
たとえばこちら、ラモーの「第1リゴドン」の4&11小節目がそうです。

もしかしたらこの下行パターンは、和声的短音階でソ♯⇒ファの増2度下行が不自然だから、ファも半音上げてみた結果かもしれません。
自然的・和声的・旋律的の3種の短音階が1曲中に混ざっているケースが多いことからしても、短音階のファとソは変幻自在だ、と考えた方が良さそうです。
まあそれが短調曲の面白いところとも言えます。

ではこの下行パターン(楽譜の黄色部分)も練習しておきましょう。
【1】先ほどの第1リゴドンと同じ、ホ短調です。
e_moll.PNG

【2】ハ短調、ナチュラルが付いた音が半音上げです。ファとソも混じります。
c_moll.PNG

次は練習曲ではなくて「曲」を歌ってみましょう♪
スコットランドの哀歌「彼女は立ち上がり、招き入れてくれた」、ヨハン・バプティスト・クラマー(1771-1858)が易しくピアノ編曲した楽譜から、旋律だけ歌いやすい高さに移調してみました(装飾音は省いています)。
スコットランドの哀歌.PNG

いかがでしたか、哀愁を帯びた旋律が印象的ですね!
実はこの歌、あのハイドンが編曲しているのです。
歌唱旋律の細部が上にあげた楽譜と少し違うとはいえ、下行にもソ♯ファ♯を使っている点は変わりありません。↓↓↓

格調高い伴奏がつくと、何やら歌曲のようにも聴こえます。
スコットランドの歌というと「蛍の光」「アニー・ローリー」「故郷の空」などの長調曲を思い出しますが、こういう曲もあるんですね~!

次回はいよいよ、この短調階名唱シリーズの「まとめ」です。

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この記事へのコメント

2020年01月29日 21:57
下降音階では自然短音階を使うという根拠が無く謎でしたが,下降音階でもファやソに♯がつくことがあり,それらは変幻自在というのは納得できます。楽典では根拠なく過剰な定形化が行われているという事でしょうか。
もともと短音階は不安定性が特徴で,それが聴感上の暗さや不安さを表しているとも言える訳ですから,下降は自然音階とステロタイプに決めつける必要もない訳ですね。
REIKO
2020年01月30日 18:21
Enriqueさん、コメントありがとうございます。

>下降は自然音階とステロタイプに決めつける必要もない

そうですね、それほど必死になって探さなくても、下行もソ♯ファ♯…の曲は、普通に見つかります。
この現象について、(通り一遍の)楽典の本は何も言及してませんが、東川清一さんの「音楽理論入門」には、下行で必ずしも自然的短音階をとらなければならないわけでないとして、バッハのインヴェンション4番の例があげられています。

楽典の中身には色々な性質のものがあり、楽譜の書き方などは先にキマリがあって皆がそれを守って書くのでしょうが、音階に関しては、まず先に音楽現象があったはずです。
そう考えると、旋律的短音階を下行型の違いによって2種に分けても良いような気がします。