羊飼いの三角関係カンタータ

ヘンデルがイタリア時代に作曲した劇的カンタータ、「クローリ、ティルシとフィレーノ」(Clori、Tirsi e Fileno)を聴いてみました。
3人の歌手を必要とする、たっぷりCD1枚分の大規模なカンタータです。

Italian Cantatas 5
Glossa
2009-03-31
Handel


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登場する羊飼いの皆さんは、このような方々です。(笑)↓↓↓


ティルシは、好きなクローリが自分の愛情になかなか応えてくれないので、やきもき。
そこへ彼とクローリを争っているフィレーノが、彼女と一緒にやって来るので、ティルシは岩陰に隠れて彼らの様子を伺います。
何と!慎ましやかに求愛するフィレーノに、クローリは忠誠を誓ってるではないですか!

キレたティルシがクローリに詰め寄ると、彼女は「あれは親切からの冗談だった」とはぐらかし、羊の番に行ってしまいます。
残された男二人は、女心に翻弄された我が身を嘆いて(さっきまで恋敵だったのを忘れて?)意気投合、互いに慰め合います。
しかしやはりクローリを諦めきれず、「傷つけられてもやっぱり好き」と歌っていると、クローリが戻ってきて・・・

愛することなく生き / 思い煩うことなく愛し
苦しまずに思い煩うことは / 不可能だ
相も変わらず気まぐれな / その思いに裏切られようとも
愛する心に報いの望みがあらんことを


・・・と3人で歌って締めます♪
このエンディングは、このカンタータが再演の際、婚礼の席に相応しいよう付け加えられたものだそうです。
初稿は、男2人で「女なんかもうイヤだ~♪」と歌って終わりだったそうな。(笑)

オーボエとリコーダーを含む器楽と、ヴァイオリンのオブリガートが付く技巧的なアリアもあって、ほとんどオペラの1幕を見る(聴く?)ようです。
ただティルシとクローリがソプラノ、フィレーノがアルトで、このCDでは全員女性が歌っているため、音では恋愛モノっぽく聴こえないのが残念です。
それにこの3キャラ、名前も男女の区別が付きにくく、すぐに頭がゴッチャになってしまうし・・・。

演奏はメリハリの効いた推進力のあるもので、歌手のテクニックも抜群、安心して聴けました。
Brilliantで進行中の、コントラスト・アルモニコによるカンタータ集は、のんびり&ゆったりの演奏で、それよりは数等「上手い」ですが、もう少し田園的な趣が欲しいでしょうかね~?
あんまり羊飼いっぽくないんだな~。
この2団体の中間くらいの演奏だといいかも、なんて思ったことです。

なおこの作品は、後に「リナルド」など他作品に転用された楽曲が多く含まれます。
特に序曲は「あ、この曲今まで何度も聴いている」なのに、手持ちヘンデル・オペラの全曲盤を当たってみても、どれも該当しません。
ようやく今日、チェンバロ組曲ト短調 HWV432 の序曲だと気づきました。
何だ、チェンバロで何度も聴いてた曲だったのか、どうりで・・・。(^ ^;)
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この記事へのコメント

Mev
2010年10月10日 10:52
羊飼いというと、どうしても洗練されていない人々という偏見を持ってしまっているので、なんかオペラに登場してもなあ。。と思ってました。 はるか昔は農業も工業もサービス業もそれぞれが素朴だったから業界的に外見や生活に差がなかったのかもしれませんよね。 

男ふたりに女ひとりというパターンはよくありますよね。私は個人的に、男ふたりで「女なんかやだー」と歌う初稿のストーリーが好きです。
koh
2010年10月10日 20:22
これは音楽劇と言いたくなるくらいですね。大好きな作品です。

>チェンバロ組曲ト短調 HWV432 の序曲
これは知りませんでした。ぜひ聴いてみたいです。

本当に、聴いたことがあるようなメロディーがよく出てきます。
後半のティルシのアリア"Un sospiretto"は、カンタータHWV172の第8曲のアリア"Allor che"とおなじ曲ですね。この曲、器楽曲にもあったような気がしていますが、思い違いかもしれません。
2010年10月11日 12:11
Mevさん、

>羊飼いというと、どうしても洗練されていない人々という偏見を持ってしまっているので
あらら、そうでしたか。(^ ^;)
私はどっちかというと「憧れ」で、のどかでいいな~、こんな生活してみたい、とか思ってました。(笑)
ニュージーランドにでも行けばいいのでしょうかね?
当時は、この種の田園的理想郷を舞台とする詩作と、それに音楽を付けて鑑賞する文化人貴族の団体があって、彼らは互いに「牧人ネーム」で呼び合っていたそうです。
「羊飼いごっこ」でしょうかね?(笑)

>男ふたりに女ひとりというパターン
「けんかをやめて」という歌がありますが・・・それを思い出してしまいました。
2010年10月11日 12:20
kohさん、

>音楽劇と言いたくなるくらいですね
ほんとにそうですね。
男性二人の性格の描き分けも良く出来ていて、とても面白く聴けました。

>チェンバロ組曲ト短調 HWV432 の序曲
>聴いたことがあるようなメロディーがよく出てきます
半分くらいは、「どっかで聴いたよな~」って感じでした。
序曲は、最初他のオペラに使われた何かだとばかり思っていたので、CDをあれこれ引っ張り出して聴いても見つからず、困りました。
HWV432は、終曲が有名なシャコンヌト短調なので、ヘンデルの鍵盤作品CDには、よく録音されています。
HWV172は、まだ聴いてないんですが、カンタータ⇒カンタータの転用もあるのですね。
随分と使い回ししてたんだ・・・!(笑)
2011年06月12日 01:46
 遅ればせながら、リンクさせていただき、ありがとうございます。
 これ、ほんとにいい曲ですね。内容の詳細がわかって、もっと好きになりました。
 ところで、「クローリ」その他の「牧歌劇キャラ」の面々ですが、バロック等のその他の作曲家の作品にも、やはり頻出してるのでしょうか。
2011年06月13日 12:18
Noraさん、

>ほんとにいい曲ですね
そうですね、他への転用が多いということは、ヘンデル自身も気に入った曲が多かった・・・ということじゃないでしょうか。

>その他の作曲家の作品にも、やはり頻出してるのでしょうか
私はイタリア語のカンタータは、ヘンデルよりもアレッサンドロ・スカルラッティの方を先に聴いてたのですが、まずその中に結構?出てきました!(笑)
「フィレーノに忠誠を誓うフィッリ」という、大好きな曲があります。
モンテヴェルディのマドリガーレ集第7巻にも、「ティルシとクローリ」ってのがありますよ。(詞:ストリッジョ)
さっき歌詞を確認したら、こちらは痴話喧嘩ではなくて、互いに相手をヨイショし合ってる内容でした。
「理想郷に住む(神様や歴史上の人物ではない)若い男女」の代名詞として、古典作品を下敷きにして、いわゆる「アルカディアもの作品」の中で色々と使い回されてるのだと思います。

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