「ベレニーチェ」聴いてみた♪

新録音・3枚組にもかかわらず安く売っている、ヘンデルのオペラ「ベレニーチェ」(Berenice)全曲盤を聴いてみました。

Berenice
Virgin Classics
2010-06-14
Franco Fagioli


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「ベレニーチェ」は1737年、ヘンデルがロンドンのもう1つのオペラ団体「貴族オペラ」と対抗し奮闘していた最中の作品です。
しかも過労がたたったのか、52歳のヘンデルはついに卒中で倒れ(今ならメタボ故の生活習慣病?)、初演はヘンデル抜きで行われたといういわく付き。

現在では滅多に上演もなく、アリア集への録音も稀なマイナー作品ですが、だからといって駄作とは言い切れない・・・のは聴いてみた第一の感想です。
物語については次回詳しく書きますが、上演に恵まれない原因は主に台本にあり、音楽的にはヘンデルの歌モノが好きな人であれば、十分楽しめる作品だと思いました。

タイトル役、エジプトの若く誇り高い女王ベレニーチェを歌うエク(S)は、役柄通りの存在感で、彼女に与えられた様々な性格のアリアを見事に歌いこなしています。
言葉と旋律のコンビネーションが印象に残る「Traditore, traditore!」や美しいオーボエの助奏が付く「Chi t'intende」(←10分30秒たっぷり聴かせます!)、彼女が愛しているデメトリオとのデュエット「Se il mio amor」などはいいですね~♪

そのデメトリオ役のファジョーリ(C-T)は、作中唯一の伴奏付きレチタティーヴォ「Selene, infida!」と続くアリア「Sù, Megera, Tesifone, Aletto!」で、余裕のある高音域を自在に操った、ダ・カーポ後の地獄を呼ぶ怒り爆発パワーがすごい!
彼は中低音域もしっかりした声で表現力があり、当盤の歌手中ではやはり実力的に頭1つ抜けている気がします。

このアリアに続くアレッサンドロ(任務よりも真実の愛に生きる男・・・笑)のカヴァティーナ「Mio bel sol」では雰囲気が一変し、その優しく愛らしい旋律にメロディーメイカー・ヘンデルの才能が十分うかがわれます。
なおカヴァティーナとは、ダ・カーポ形式によらない短い歌で「ベレニーチェ」には3曲あり、どれも小粒ながら魅力的です。
アリアがケーキなら、カヴァティーナは飴玉みたいなもんでしょうか?

惜しむらくは(いつものことですが)カーティスの指揮で、やはりどこかギクシャクしていて歌との馴染みが悪く、まるでメトロノームに合わせて歌と別録りしたオケを、後でミキシングしてるような感じです。
例えば三拍子系の曲で、リズムに伸縮がなく生真面目に「イッチ・ニイ・サン、イッチ・ニイ・サン」と数えているため、愉悦感に乏しいとか。
まあ、25年くらい前の古楽演奏ですかね~、歌手が健闘しているだけに残念です。

オマケですが、第3幕冒頭のシンフォニアは、出だしが王宮の花火の音楽と同じです。
「あら王宮花火さん、こんな所で出会うとは!お元気でした?」・・・(^ ^;)

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この記事へのコメント

2010年08月14日 20:26
横レス、スミマセン・・
Ceciliaさまのブログを拝見しましたが、
これって最後のコーラスをアレンジしたもの?かしら・・??
ハッピーエンドなのに何故こんなに暗いのか?
と私は感じていた曲です・・
違うかもしれません・・REIKOさんっ!!お願いします・・
2010年08月14日 20:51
オーボエの美しい序奏(たっぷり10分)の付くChi t'intende、というのに惹かれます。ヨハネット・ゾマーとオーボエのバート・シュニーマンのヘンデルアリア集CDに収められてるこの曲では、ぜんぜんその序奏が付いてません!独立のオーボエ・コンチェルトは収録されてるんですが、せっかくこの二人のコラボなんだから、アリアの伴奏でたっぷりオーボエを聴かせるべきだわ。

>25年くらい前の古楽演奏ですかね~
これは、25年くらい前の古楽演奏家への冒涜ですよ~。こいつと一緒くたにされたくな~い、とぼやく声が聞こえてきます。。。カーティスは、とにかくアングロ・サクソン系古楽解釈から抜け出せないんでしょう。それとも、中庸を重んじるアメリカの美徳に染まってる、と言うべきか。
アルチーナ
2010年08月15日 05:40
きゃあ!!恥ずかしい↑全然違うこと、言っちゃいました!
穴があったら入りたい・・とは正にこの事・・・
消せるなら・・という気もしますが・・・

いや、ほんとに失礼しました・・
2010年08月15日 14:29
Ceciliaさん、

あ、そのこと(Menuet)をすっかり忘れていました!
ブックレットを見ると、「ん?メヌエットなんてどこにもない!」
・・・解説を良く読んだら、序曲の中の「Andante - Larghetto」の部分が、しばしば「Minuet」と間違って呼ばれているとありました。
確かにあの曲でした。
ゆっくりオルガンで演奏すれば、どことなく宗教的な雰囲気になりますね。
でも本来は宗教とは関係ない曲です。
そう言えば「オンブラ・マイ・フ」も「ヘンデルのラルゴ」と言われていましたが、実際は「ラルゲット」だし、昔ヘンデルのオペラの全貌が知られていなかった頃の呼称は、いいかげんなものが多いようです。
2010年08月15日 14:37
アルチーナさん、

メヌエットの「正体」については、Ceciliaさんへの返信にある通りですが、最後のコーラスもちょっと似てることは確かです。
「序曲」と「最後」なので、(意図的な)何らかの呼応があるのかもしれませんよ。
(なので別に恥ずかしくありませんよ)

>ハッピーエンドなのに何故こんなに暗いのか?
私も変だな・・・と思ってましたが、解説に書いてありました。
史実では、ベレニーチェは結婚後19日で新夫に殺され(その夫は怒ったエジプト民衆に殺された)、彼女の結婚は必ずしも幸せでなかったことを、教養のある聴衆なら知っていることを踏まえた曲付けのようです。
・・・そうだったのか!(^ ^;)
★ブックレット13ページ、右側真ん中あたりを読まれよ♪

2010年08月15日 14:49
レイネさん、

>Chi t'intende
すみません、ちょっと書き方が紛らわしかったかもしれませんが、(序奏ではなくて)「助奏」(←オブリガートのこと)です。
で、10分30秒はアリア全体の時間です。
ゾマーのアリア集は、オーボエと共演する曲を中心に選曲されてるので、ちゃんと楽譜通りやってると思いますが・・・
歌が出る前、オーボエ中心の「前奏」が1分近くありませんか?
で、歌が出た後もオーボエが合いの手を入れたり、歌とハモったりしてると思います。
ところでこの曲は当初Allegroだったのを、後でヘンデルがAndante(+ Larghetto)に変更したそうです。
ゆっくりなので10分以上あるのですが、まさかAllegroバージョンでやってるとか?
それならそれで聴いてみたい気も!

>25年くらい前
まあこれが25年くらい前なら「有り難い演奏」なのかもしれませんが・・・ということで。(苦笑)
中庸うんぬんというより、根本的にリズム感が古いって気がします。
これはもう治らないんだろうな・・・(^ ^;)
2010年08月15日 17:46
助奏を勝手に序奏と読み替えての早とちり、大変失礼しました。
ゾマーとシュニーマンも、ごめんね。
彼らの演奏は、Adagio/Andanteで、6分23秒です。Allegroでもないのに、演奏時間が妙に短いです。
アルチーナ
2010年08月16日 09:54
イヤハヤ・・色々とお騒がせ・・
2回目のコメント時間が妙に早いのはタマタマ早く目が覚めたんですが、その瞬間、序曲が頭の中で鳴り始めて、「あ!間違った!」とイキナリ気がついたもんで・・

そらから・・ブックレットも読まねば!です・・
Si tra i ceppiが五声の対位法云々というのは読んだ(いや見ただけですけど・・)のですが・・

ゾマーのアリア集はAメロの繰り返しがありません。
だから短いんですね。それにこの曲はアレグロじゃない方が良いような気がしますね。

そらから・・『ベレニーチェ』について・・
私も結構、気に入ったアリアが多いです♥
ただ・・今回REIKOさんが言うかと思ったのですが・・
アレッサンドロとアルサーチェが共に女性が歌っているので
ボケッと聴いていると誰が誰だか分からない!ですよね?
でも・・アルサーチェは兎も角、アレッサンドロを男性に歌わせるのは難しいでしょうかね?
2010年08月16日 22:13
レイネさん、

>6分23秒です
アルチーナさんがおっしゃってるように、ダ・カーポしてないんでしょうね。
この全曲盤の演奏で、A・Bを歌った後、最初の前奏に戻って歌の前で終わると、ちょうど6分半くらいでした。
長いからはしょったんでしょうかね?
(私の返信に不正確な部分がありました:「当初Allegroだったのを」ではなく、「当初Allegroだった部分を」でした)
2010年08月16日 22:23
アルチーナさん、

>Si tra i ceppiが五声の対位法云々
あ、そこは私読んでませんでした。(^ ^;)
この曲、オケと歌のからみが個性的で、昨日も聴いてたんですが。
このオペラ、細かく聴いていくと結構面白いですよね。

>アレッサンドロを男性に歌わせるのは難しいでしょうかね
う~ん、ソプラノ歌手が歌ってるので、音域が高いんでしょうね。(楽譜見てませんけど)
初演時はデメトリオとアレッサンドロがカストラートで、アルサーチェは女性歌手だったと解説にありますね。
(カストラートが3人揃うことは滅多に無いです)
アレッサンドロはやはり、タマ無しでないと難しい高さなのでしょうか???(爆)

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