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ヘンデルと(戦慄の右脳改革)音楽箱
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ヘンデルの声楽曲を中心とした、バロックの埋もれ名曲や、ちょっと珍しい音楽の話題など♪
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仕上げた曲の再録音と電子ピアノの設定

2017/01/18 22:48
ピアノを再開してから2年半弱、原則として仕上げた楽曲は録音してYoutubeにアップし、そのうち米国の教育作品だけでも100以上の数になりました。
基本的には「気に入った曲」を選び、弾きながら聴くのが楽しみで練習してるわけですが、録音したらそれを聴いてる方がラクなので(笑)、その後パタリと弾かなくなるんですね。
昔は「仕上げたら録音する」という考えがなく(ネットもYoutubeも無かったし)、好きな曲は練習の締めなどに結構弾いてたんですけど。

「弾き捨て」でサッサと次の曲に行く今の状況が少々もったいなく思えてきたので、数年経っても良い曲だなあと感じるものは、練習し直した上で再録音してみることにしました。
手始めにまず2年ほど前に弾いたこの2曲を ────

◆スイート・エレジー/キャサリン・ロリン  ★楽譜はこちらに収録

旧録音はこちら

◆アリオーソ ニ長調/デニス・アレクサンダー  ★楽譜はこちらに収録

旧録音はこちら

難易度はどちらも(日本の)中級初め程度でしょうか、当初からそれほど苦労して仕上げた曲ではないので、思い出し練習も30分×2くらいでOKでした。
以前と条件が違うのは、半年ほど前に電子ピアノのキータッチを、M(標準)からL1(やや軽い)に変えたことです。
楽器のハード面は同じですが、センサーで検知した打鍵速度の各レベルに対し、結果音をどう出すかが変わり、その結果タッチの体感も変わるというものです。

タッチ「M」では特にデフォルトのピアノ音色だと、私がどんなに強打しても皮を一枚被ったような鈍いフォルテしか出ず、楽器の音量が0〜100としたら、65程度までしか使えてない感じでした。
ピアノは腕の重さを使って弾く関係上、欧米男性の体格を想定した仕様では、軽量の日本人女性に不利な面があるのは仕方ない…と思っていましたが、ふと取説を読んで試しにキータッチを変更してみたら、タッチよりもむしろ音色の変化に驚いたんですね!
きらびやかなフォルテが出る! ダイナミックレンッジも広がる!!

自分の腕の重さには「L1」がちょうど良かったようです。
「L2」(最も軽い)は明らかに子供向けで、少し鍵盤を押しただけでも大きな音が出てしまい、かえってコントロール至難でした。
逆に、体格の良い男性でピアニシモが出づらい等の場合は、重い方の「H1」や「H2」にすると、表現の幅が広がるはずです。
(このような機能は、たいていの電子ピアノに付いています)
標準以外の設定に抵抗ある人もいると思いますが、自分に合わない楽器で無理をしたあげく、変な癖がつくよりマシではないでしょうか。

何より私はキータッチを変更してから、ピアノを弾くのがますます楽しくなりました。
楽しければ練習も進みますよね?
今では基礎練習や練習曲は「M」で、その後で楽曲を弾く時に「L1」に切り替えるのが習慣になっています。
そんなわけで今回再録音した2曲は、旧録音と比べてダイナミックレンジが広がり、音色の変化もよりはっきり出ました
特に山場に向かってクレッシェンドする所では、「上がつかえてる」感じだった以前と比べ、今回はイメージ通りに表現できたと思います。

他に変わった点は、どちらの曲もテンポが速くなったことですね。
特に意図したわけではなく、自然にそうなったものです。
これは良し悪しで、アリオーソは遅かった旧録音の方が作曲者の指定テンポに近いのですが……でもこの曲は、あまり遅いと息の長いフレーズの魅力が上手く伝わらず、自分の感覚に逆らって遅くするのは難しいです。
楽譜には後半盛り上がる箇所に「がんばりすぎない」「あわてない」等の書き込みがあり、今思うと一体ナニをそんなに頑張ったり慌てたりしてたんだろう?と笑ってしまいました。
2年ほど経つ間に、平常心?で弾けるようになったんですね。
そのおかげか、エレジーの方は淡々と、アリオーソの方はサラッと弾く中にも、聴かせどころはさりげなく盛り上げようという狙いは、ほぼ達成できたかな〜と思っています。

最終的な私の理想は色々やってるんだけれど、何もやってないように聴こえる演奏です。
演奏者の存在が消えて、楽曲の魅力だけが聴き手を揺さぶる演奏とでも言いましょうか。
今回の録音を聴くと、まだ「作為」が見え隠れしてる箇所があるなと。
完全に自分の存在を消すには、もう少し修行が必要なようです。
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これなら速読できる♪「音程」読譜でピアノを弾く

2017/01/09 22:37
「楽譜を見ながら弾けない」

大人になってピアノを始めた人から非常によく聞く言葉です。
これについて私は当初、手元を確認しないとミスするので楽譜を見れないのかな?と思っていました。
しかしそうではなく「読むのが遅くて、楽譜を見ながらだと音楽が止まってしまうから」なのだそうです!
確かにピアノの楽譜は二段の大譜表で和音も多く、全ての音符を真面目に音名で読んでいたらテンポに遅れてしまいますね。
そこで1〜2小節単位で楽譜を読んで(これがほとんどの場合「固定ド」というのも問題ですが、それは置いといても、とにかく音符を逐一音名に直して)対応する鍵盤を探し、何度も弾いて覚えたらそれを繋いで何とか1曲仕上げているのだそうです。
独学でなく先生について習っていても、こういう人はかなり多いんですよ。

しかしこの「まず暗譜ありき」の方法では ────
・1曲覚えて弾けるようになるまで長い時間がかかる
・何曲も覚えていられないので、レパートリーが増えない
 (大抵の場合、今練習している1曲しか弾けない)
・曲が長く複雑になってくると覚えられずにお手上げ

──── となり、そのうち行き詰まってしまいます。

ではどうすればいいのか?
世田谷区でピアノ教室を開いている新谷有功さんのサイト、こちらの「初見演奏」のページをご覧ください
音名(=音高)を読むのでなく、2音間の音程と指や手の開きを対応させ、手元を見ずにピアノを弾く方法が丁寧に説明されています。
実は私も誰に教わったわけでもないのに、子供の頃独学でピアノを弾き始めた当初からこのように楽譜を読み、弾いていました。
6度は5度から少し広げる、7度は8度(オクターブ)から少し縮めるなど、あまりにそのままなので、このページを見つけた時は驚いたものです。
しかも五線の「線」や「間」から音程を速読する方法は、当ブログの「超・階名(移動ド)唱マスター法」で紹介したのと全く同じじゃないですか!

平易な曲を教材に初見力をつける例で説明されていますが、普通に「弾きたい曲」を練習する時も同じです。
音名が必要なのは、弾き始めや大きく跳躍する音だけで十分。
その他は音程を見ることで大幅に読譜の手間が減って速読でき、楽譜を見ながら弾くことが可能になります。
クラシック・ピアノでは「目は楽譜、手元は見ない」が基本。
楽譜から目を離すのは、手元を見ないとミスする跳躍などの時に限りましょう。
暗譜するのは、楽譜を見ながら通して弾けるようになった後の話です。


実は新谷さん、日本のピアノ教師には珍しい移動ド(階名)音感の方なんですね!
それに関してはこちらに興味深いことが色々と書かれているので、ぜひご覧ください。
新谷さんは他のピアノ教室から移ってきた初見力のない生徒を見るにつけ、満足な読譜指導が行われてない現状に怒ってらっしゃいますが、「絶対音感+固定ド」のピアノの先生が当たり前?の日本では、音名(=音高)ばかりに着目し、音程を読むという発想が希薄なのでしょう。
ピアノ譜の「音程読み」で速読を勧める記事も見つかりますが、まだ一般的でないからこのように書かれるわけです)
これはピアノ界で階名がないがしろにされているのと繋がっていますね。
音程は階名のキモですから。

やはり音楽の認識方法と、楽譜の見方や楽器演奏のプロセスには大いに関連があるようです。
音高が単独でも認識できるのに対し、音程は2音の差ですから、私の場合、音符は必ず2個(以上)セットで見る癖がついていますし、ピアノの鍵盤はどういうふうに並んでる?と聞かれたら、向かって左から右へ低い音から高い音…ではなく、狭い音程は近くに広い音程ほど離れた位置にある、となります。
ですからピアノを習っていた時、音符を1音読みし、それがこの鍵盤で…などと教わっても、ピンと来なかったのは当然ですね。

ところで大人になってからピアノを始める人は、ほとんどが相対音感(=「音程」で音楽を認識)と思われるのに、先生の方が絶対音感(=「音高」で認識)で音高読譜しか教えない、あるいは独学のせいで音高読譜しか知らない場合、音感と読譜方法の間に大きなミスマッチが起きていることになります。
(「固定ド」読譜は音高読譜の一種であることに注意)
これはかなり深刻な問題ではないでしょうか。
ピアノを始めてだいぶ経つのに読譜が遅いのが悩みという方は、このミスマッチを疑ってみてください。
音程読譜&奏法を身につけることで、劇的にピアノが弾きやすくなるかもしれませんよ。
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変則開始の不思議な旋律〜中田喜直「朝のさんぽ」

2016/12/16 18:49
階名で古今東西の(調性音楽の)旋律を斬ってみると、長調の場合ド・ミ・ソのいずれかで始まる曲が大半だと、以前こちらの記事に書きました
短調の場合はラ・ド・ミのいずれかがそれに相当します。
それ以外の階名で始まるものを、私は勝手に変則開始と呼んでいますが、このところそのような曲を探すのに凝っています(笑)。

その気になって探せば結構あるもので、昔買った楽譜で中田喜直さんのピアノ曲集《こどものゆめ》から1曲見つけ、さっそく弾いてみました。
出だしの旋律、階名を考えてみてください。



どうですか、いきなり途中から始まっているような、不思議な感じですね!
朝の散歩の爽やかな気持ちや情景を思わせる曲ですが、家を出るところから描写してるのではなく、もうだいぶ歩いてるな…と私は見ました(笑)。
途中の怪しげな半音階は、怖そうな大型犬にでも睨まれたんでしょうか?
最後はいかにも「ただいま〜」という感じなので、そのつもりで弾いています。

出だしの階名は「シラソファミーレーソーレードーー」で、シ始まり
「シ始まり」の有名曲には「ロンドンデリーの歌」(シドレミー)や、ビートルズの「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」(シドーシーソミーラー)がありますが、この2曲はどちらも弱起で、シの次はドです。
今のところ私の印象では、変則開始は弱起が目立ち、「ファ↓ミ」「シ↑ド」のような、階名の性質として自然な動きが続くのが普通なのですが ───

しかし「朝のさんぽ」は強起で、シからすぐ上のドに行かずシラソファ…と下行、次の小節の3拍目でようやく下のドにたどり着くんですね。
特に長調の場合、シはものすごぉ〜〜〜く2度上のドに行きたがる音なんですけど、完全にその逆を行っています。
この「シラソファ…」は前半でもう1回繰り返され、また曲の締めにも再登場、
類似の「ファミレドシーラー ラーソードー」という旋律も1分12秒〜に出てきます。
これら途中から始まってるようなフレーズが、この曲をユニークなものにしているわけです。

ところで曲集の末尾、中田さん自身による《練習のてびき》を見ると、ホ長調の「卵のかたちの練習曲」について、以下のような注目すべき!?記述があり、思わずニヤニヤしてしまいました。

(指が)「ホ長調のドレミファソを12345の指でひくときに卵のかたちになります」

この「ドレミファソ」はもちろん階名(移動ド)ですね!
だから「朝のさんぽ」も「ちょっと変わった階名で始めてみよう」…と中田さんが頭を捻ってできた曲かもしれません。

《こどものゆめ》は1978年、「ファのおはなし」が入っている三善晃さんの《音の森》と同じ年の刊行(どちらもカワイ出版の「子供のためのピアノ曲集シリーズ」)です。
昭和50年代のその頃、「固定ド」か「移動ド」かという唱法論争があり、前者を牽引したのは三善さんだったとのこと。
「固定ド」推しの三善さんを、中田さんはどう見ていたのでしょうね?
私が中田さんだったら「階名の存在を踏みにじる気かこのドアホ!!」と思い、廊下(ってどこの?)で会っても完全シカトだったかもしれないです(笑)。
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階名から見た「ファのおはなし」三善晃

2016/12/11 20:18
前回の続きで、「固定ド」タイトルのピアノ曲、三善晃さんの「ファのおはなし」を階名(移動ド)の観点から見てみようと思います。
ほとんど2声の緩やかな曲なので、階名音感の人なら楽譜なしでもすぐ階名認識できますね。



(以下、ドレミ…は階名です)
まずミ↓ソ↑ミ〜〜〜♪という、6度下がってまた上がる出だしです。
一般的な旋律(特に歌モノ)は大部分1〜5度の音程でできており、6度以上は大きな跳躍と考えていいと思います。
その6度では、ソ↑ミの上行ってすごくよく出てくるんですね!
ソは4度上がって主音のドに行きたい性質を持っていますが、そのドを通り越して一気にミまで上がるので、とても明るく決然としたイメージです。
もっともこの曲では、ミからソへ6度下がってまた上がる、行ったり来たりになっていますが。
ではここでクイズ…ミ↓ソ↑ミで始まる有名な旋律、何か知っていませんか?
私はとりあえず2曲思い出しましたよ ───(答えは記事の最後に)

この2曲はどちらも、ミ↓ソ↑ミの後に順次進行が続きます。
大きな跳躍と順次進行をセットにしてバランスを取る、非常に良くある旋律の作り方です。
しかし「ファのおはなし」は、ミ↓ソ↑ミーー↓ソ↑ミーー↓ラ↑ミ↓シ↑ミ↓ド…と、跳躍が続くんですね。
そこで何度も出てくる「ミ」以外の音に注目すると、「ソ・ソ・ラ・シ・ド」と動いていることに気づきます。
ほんとは、ソはすぐにでもドに行きたいんですよ(笑)。
でもそれじゃ「おはなし」がすぐに終わってしまいますね!
だから一歩一歩階段を登るようにドまで行くのです。
この部分、ミの連打とそれ以外の音、右手で弾く中に2つの動きがある(つまり2声が隠れている)ことを意識して演奏する必要があるでしょう。
ミ↓ド↑ミ↓レ…と、上行してきた音がミに近づくと、今度はミ↑ソ↓ミーー↑ラ↓ミーーと、ミとファを跳ばしてさらに上行します。
(ここまでの旋律で階名「ファ」だけが登場しないのは、題名を考えると全くもって皮肉なことです)

さて次、曲中たった唯一の臨時記号#が、階名ファの音に付いています。
これは非常に良くあるパターンで、ここは1番カッコだし普通なら属和音で半終止して冒頭に戻る…と考え、「ファ#」に派生音の読みを当てて(私は「フィ」としています)他はそのまま読むのですが…



何かヘンなんですよね、これだと……というのは、今まで「ミ」に聴こえていた嬰ヘ音が、ここでは全然「ミ」に聴こえないんですよ!
(階名音感者ならそう思うはず)
ここで一体何が起きているのか…!?
こういう時に私が最近よく試しているのは、前と切り離してその部分だけ階名認識してみることです。
(楽譜から楽典的に調判定することも出来ますが、どういう曲か分かっている場合なら、音感で階名をアテる方が早くて面白い)
するとこういう↓↓↓階名なら、違和感ないと気づきました。



嬰ヘ音が「ラーーー」と伸びていて、フレーズにも区切りがついています。
ラは短調の主音…そうです、ここは嬰ヘ短調になってるんですね!
つまり原調のニ長調から、最も良くある属調・イ長調への転調でなく、さらにその平行調の嬰ヘ短調 ─── と、1回半ひねり(笑)くらいしてるんです。
どうりでここは、最初にこの曲を弾いてみた時、妙に弾きにくい箇所でした。
指がどうこうの問題でなく、転調に耳がついていかないと「あれ?」ってなるんですよ。
しかし調に合わせて階名を読み替え、それで一度歌ってみると、急に弾きやすくなるのです!(←ホントですよこれ♪)
そしてここは、順当に進んできた「おはなし」に少し暗い影がさす(短調の中間部分の伏線?)箇所ですから、そのつもりで演奏しなければなりません。

冒頭に戻った後、2番カッコはニ長調のままで、34秒〜から中間部分(平行調のロ短調)に入ります。
右手旋律は「ドラドレドシラミ…」と、短調になると何故かよく沸いて出て来るシラミがさっそく登場(笑)。
長調、短調、それぞれに特徴的な階名の並び方があるのは、とても興味深いことですね。
左手低音の動きを見てみると、「ミーファミレドシ」の次に「ラーソファミレドシラー」と主音から1オクターブ順次下行し、そこから一気に2オクターブ!上がって、また「ラソファミレドシラソファミーーレーードーー」と、今度は長調の主音ドで止まり、ニ長調の主題にダル・セーニョで戻ります。
この短調⇒長調の移行部分は、とてもスムーズで美しく、この曲の隠れた聴かせどころではないでしょうか。

以上に書いたことは、いわゆるアナリーゼ(楽曲分析)の一種で、説得力のある良い演奏をするために必要なことです。
つまり階名はアナリーゼの強力なツールなのです。
しかも階名キャリアが長い人なら、いちいち考えなくても旋律や和声の動きから直感的に「どう演奏するべきか」分かる(少なくとも私はそうです)ことも多く、特に「歌うように演奏する」センスを磨くには、階名ほど役立つものはないと感じています。
しかし同じドレミでも、「固定ド」に全くこの効果はありません。

ですから ────
・歌いやすく覚えやすいドレミを、音楽的に無意味な「固定ド」に使うのはもったいない
 (音名にはハニホやCDEを使えばよい、と何度も書いている通りです)
・「器楽は『固定ド』が便利」(=階名は学ぶ必要がない?)という考えは全く皮相的
…であると強く考えています。

【クイズの答え】
エルガー「愛の挨拶」 ── ミーソミレドシド…
「ハイケンスのセレナーデ」 ── ミソミーファミレー…
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「固定ド」ピアノ曲〜《ファのおはなし》by 三善晃

2016/11/26 16:13
タイトルに階名(移動ド)が入ってるピアノ曲があるなら、当然?「固定ド」曲もあるはずだ…と探したら簡単に見つかりました。
かつて「固定ド」推進の首謀者(失礼!)だった三善晃さんの、子供のためのピアノ曲集《音の森》(1978)から「ファのおはなし」です。
さあ何がファなんでしょうか、聴いてお確かめください。



主題の中に、何度も繰り返す音がありますね。
「ファ」に聴こえました????
「ファっていうか、ファのシャープだよね?まあどっちもファって読むからね…」←絶対音感+「固定ド」の人はこう反応するはず。
一方、階名(移動ド)音感の人は…↓↓↓

… …ミにしか聴こえねェ…!!

…これミだろ、何がファなんだよ!!!

ミに決まってるだろーがぁあああ!!!!!


何だぁ?この曲はぁあああッ!???!!

私もこちらでした(爆)。
冒頭の右手旋律はこうなっています↓↓↓


タイトルはト音記号第5線上の音を「ファ」としていますが、階名だとこの音は(ニ長調の)「ミ」になります。
階名音感の人なら、楽譜を見なくても曲の冒頭を少し聴くだけで容易に「ミ」と認識できるはずで、ミソミ〜〜ソミ〜〜という出だしは、非常に良く使われるソミ6度ですね♪

それにしてもこの件で「固定ド」ってワケの分からんメソッド?だと思うのは、第5線にシャープの調号がついてるのに全くそれを無視してることです。
調号や臨時記号の有無にかかわらず、第5線にタマがあれば一律に「ファ」と読むんですか????
ダブルシャープが付いても「ファ」? きっとそうなんでしょうね。
つまり「固定ド」というのは音名にさえなっておらず、五線上のタマの位置を指しているだけなのです。
これをその辺のオジサンが「いいじゃん、何か悪いのぉ?」と言うなら分かりますよ、でも三善さんって(すごく偉い?)作曲家なんでしょ!??

さらに不思議なのは、三善さん自身による「演奏のてびき」に、この曲に関し「D dur、 h mollの音階練習をしておこう」とドイツ音名の調名表記が使われてることです。
「子供はドレミで簡易教育しておき、大人になったらドイツ語でちゃんと学ばせる」という筋書きなんでしょうか?
しかし初学時代に「固定ド」を刷り込まれた場合、たとえ後でそれを表面上は卒業したとしても、階名(移動ド)の正しい認知やその学習が困難になることは、普通のアタマがあれば気がつくはず。
その上でこういう曲を書いたなら、階名が不要と思っているのみならず、階名を学ばせないような教育を積極展開していたことになります。

実はこの曲集には他にも「ラのぶらんこ」「ファのパヴァーヌ」という、「固定ド」タイトル曲があり、三善さんの固定ド推しぶりが良く分かります。
もし私が小学生の時(←すでに階名音感発動してましたw)にこのような曲を知ったら、大いに違和感を覚えたはずで、同じような子供が「先生、これファじゃなくてミに聴こえるよ」などと言ったらどう対応するのでしょう?
いや、もしかして階名音感者や大体(笑)音感者を強引に「固定ド化」するための教材なんですかね???
だとしたら恐ろしいことです…

ところでこの「ファのおはなし」、作曲者の意図とは真逆ですが、私には階名的観点から見てなかなか面白い&良いサンプルと思うので、次回はそれについて記事にします
天国の三善先生もぜひお読みください♪
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階名がタイトルのピアノ曲を発見!?

2016/11/23 22:20
なんと!タイトルに階名が使われているピアノ曲を見つけました。
その名もラグタイム ド-シ-ドです。
さっそく弾いてみましたのでどうぞ♪♪♪



階名の知識がある人なら、タイトルの「ド-シ-ド」が何を意味しているかすぐに分かりますね?
そうです、階名では隣り合ったシとドの音程は半音(短2度)、曲中何度も出てくる「半音下がってまた半音上がる」音型を指して「ド-シ-ド」と言ってるのです!
私も「ドシード♪ドシード♪」というノリで楽しく演奏できました(笑)。

著作権があるので譜面を出せないのですが、この曲は調号なしで一見ハ長調のようでも、臨時記号をつけて変ロ音が使われているなど、基本はハ音が主音のミクソリディア旋法です。
(調号をつけるなら、ヘ長調と同じものになる)
階名で読む場合、ハ長調・ヘ長調のどちらに倣うか迷う所ではありますが、必ずしも全てのドシド音型が、文字通り階名で「ド-シ-ド」になっているわけではありません。
しかし音高が異なっても、半音で上下するジグザグ音型を「ド-シ-ド」と捉えてタイトルに使ったのは、極めて階名の本質をついている発想だと思います。

            ──── 間 ────

………これだけで終わったら記事になんかしませんよ(笑)!
Youtubeで私がこの曲の存在を知ったのはつい最近です。
楽譜を手に入れようと調べたところ、Martha Mierの「Jazz, Rags & Blues Book 1」の収録曲と分かりました。
だったら、こちらの記事で紹介しているマーサ・ミアーの曲集に入っています ───「はて?ラグタイム ド-シ-ドなんて曲あったっけ?あれば気づいてるはずだけど…」
慌てて楽譜をめくり目次を見ましたが、そんな曲ありません。
「あれ?無いじゃん…おかしいなぁ…あ! あぁあッ!?」

ラグタイム スクエア ダンスという日本語タイトルの下に、 Ragtime Do-si-do と小さな文字が…

何と!「Do-si-do」が訳出されず、全く別の言葉に置き換えられていたのです!
他の曲も日本語タイトルと原題を見比べてみましたが、これほど改変されているものはなく、なぜこの曲だけが…!?
しばらく唖然として楽譜を眺めていたら、突然あることに気づき、私は「アハハハ」と大笑い!
そうです、この曲に22回も出てくる「ドシド音型」、その中に1つも「固定ド」読みでドシドになるものが無かったのです!

おそらくこの曲集の日本語版出版に際し、「Do-si-do」をどう訳すか、編集サイドでは大紛糾したのでしょう。
「ラグタイム ド-シ-ド」とした場合、「固定ド」一辺倒で階名を知らないピアノの先生や生徒(これはジャズの曲集ですが、あくまで楽譜を見て弾くクラシック系学習者を想定した教育作品)の多くは、「どこにもドシドがないのに変」と思うはずです。
日本の現状を考えると正直に訳すのは不適切と判断し、他の適当な言葉でスリ替えたに違いありません。
曲を解釈&演奏する上で重要なポイントとも言える「ド-シ-ド」を消し去るとは…出版社まで階名の隠蔽工作に加担してるようなもので、もう開いた口がふさがらないです!
(この場合、階名に関する注を付けてでも「ド-シ-ド」を残すべきだったと思います)

なおこの曲集では、低いC音の連打が特徴的な「Low C Boogie」という曲も、英語音名「C」が敬遠されたのか「ベースのブギ」という訳になっています。
こちらも演奏上「C」を意識するのが大切と思うのですけどね…
Youtube見てください、Ragtime Do-si-do も Low C Boogie も、このタイトルのまま世界でたくさんの人が演奏してるんですよ。
日本ばっかり何やってるんでしょう!?
音名も階名もいい加減な日本のピアノ教育、ガラパゴス化してると思うのは私だけでしょうか????

「ドレミの歌」を例に、長音階とdo re mi…について説明している英語のページ
(AやCなどの音名とは異なること、do re mi… がピアノの色々な鍵盤から始められることなどが、きちんと言及されています)
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音名はどれが良い?日・英・独語の比較

2016/11/11 22:10
日本の、特にクラシック系音楽教育で階名が絶滅寸前になっている原因に、音名が正規の音名用語で教えられてない現状があります。
つまり階名が健全化していない世界では、音名もいい加減なのです。
そこで、日本では3種も流通(笑)している音名について、それぞれの特徴を私なりにあげてみますので、これからキチンと使おう!という方は参考にしてみてください。
(私は普段、どれも同じ程度に使っています)

【日本名:ハニホ…】
1.ト音記号、ヘ音記号などの音部記号名、「ニ長調」「嬰ハ短調」などの調名の理解に欠かせない
2.音名唱(これがどの程度重要かはともかく)の際も、日本人には英語や独語より歌いやすい
3.カタカナは子供でも分かるが、派生音の「嬰」「変」に少々難あり?
4.調号がつく音名は#なら「ヘハトニイホ」の順とか、調名(長調)は♭系なら調号の数の順に「ヘロホイニトハ」など、語呂が良く覚えやすい
5.海外では通用しない(しかしこれは「机」という言葉が海外で通用しないから学ばなくても良い…にならないのと同様に考えるべき)
【追記】6.日本語の文中(特に縦書きの時)では、英・独の音名より収まりが良い

【英名:CDE…(シー、ディー、イー…)】
1.コードネームの元になるのでポピュラー音楽では必須
2.英語教育の早期化で、昔より子供にも教えやすくなった
3.音部記号は「G Clef」「F Clef」、調名はD majorやG# minorなど、全て英語で覚えれば一貫性がありベスト!
4.昨今はクラシック音楽でも、米国産教材の普及にともない勢力拡大中
5.独名と一部まぎらわしい発音や語がある
6.派生音に使う#や♭の記号が、特定の状況下で使えない(HP用のファイル名にはNG、半角の♭は出しにくいなど)

【独名:CDE…(ツェー、デー、エー…)】
1.昔は、これを知っているのはクラシックの専門教育を受けた人…というイメージが強かった (今は???)
2.派生音がややこしい…と思われがちだが、「イスに上がると高くなる」で#音が「-is」で♭音が「-es」とすぐ覚えられる
3.「ツェー」が発音しにくいなど、幼児には向かない面も
5.英名と一部まぎらわしい発音や語がある
6.(英名6のケースで)#や♭を使わず派生音が表記できて便利
7.バッハのB-A-C-Hなど、主題にドイツ音名を使った曲の理解に必要

ポピュラー音楽中心なら、まず英語音名を学ぶのが一般的で、その際は「3」で書いたように、音部記号名や調名もキッチリ英語で統一しましょう。
これ(+階名)で楽典的なことがしっかり頭に入れば、必要に応じ追加で日本名に慣れるのも簡単だと思います。
迷うのはクラシック系の場合ですが、やはり日本名に最初になじむのが筋でしょうね。
その上で英名または独名が分かれば便利で、これは個々の好みや事情によりどちらが良いかは違うと思います。
趣味でピアノを弾く方なら、英名「4」に書いた状況から、これからは応用範囲の広い英名がおすすめです。
最近はコードネームを付記した基礎練習の教本や、ブルクミュラーなどの曲集も出ていて、クラシックでも英語音名を知っていると便利なケースが増えてきています。

なおここで私の音名経歴を書いておきますと ────
記憶の範囲では、幼稚園の時ピアノのグループレッスン(教本はメトードローズ)に全くついて行けず、個人レッスンに切り替えて与えられた「バイエルに入るまで」という導入書で、親指を指しながら「この指なぁに、ツェーですよ♪」とやらされたのが最初です。
今思うとこれは「指固定ツェー」とも言うべき、とんでもない教育です!
(鍵盤を指し「これがツェー」とやるのはOKですが、指と紐付けするのは間違い)
「つ…つぇ〜って何??」…ますます分からなくなりました(苦笑)。
しかし昭和30年代末にこのような導入教本(音符が黒玉でなくキャンデーなどの絵でした)が存在していたことは、当時「幼児でも最初から音名はドイツ語で教育」という考えがあった証拠とも言えます。

その後、ピアノの独学を始めた小学校の時には「ト音記号」や「ハ長調」「ヘ長調」などで、何となく日本語音名に慣れ親しんでいました。
「ヘロホイニトハ」は小4の頃、合唱クラブで先生に教わったものです。
(#なら「トニイホロヘハ」)
かつて挫折した独名は、こちらに書いたことがきっかけで小6の時に覚えました。
「イスに上がると…」も井内澄子先生のお言葉です。
その後中学生になって洋楽や日本のニューミュージックを聴くようになり、コードネームに興味が出てきたので勉強し、英名にも慣れることができました。
数年前までやっていた打ち込みも、シーケンサーは英語音名です。

現在ピアノの楽譜で、読みにくい音にメモする時は独名ですが、これはアルファベット系では独名を英名より先に身につけたためか「B」とあったらロ音よりも変ロ音のイメージが強いからです。
また、嬰ホ音や変ハ音などの、臨時記号がつくのに白鍵を弾く音は、#や♭を使わず「Eis」「Ces」とする独名の方が、感覚的にピッタリ来ますね。
一方でアルペジオ中心の(特に練習)曲には、譜読みをラクにするためコードネームを書くことがあります。
コードネームは音名と混同しないよう四角で囲み、そこにBとあったらロ音を根音とするメジャーコードと認識する癖がついてます。

こうしてみると、音名談義?もけっこう面白いですが ─── 音名は3種類からよりどりみどりなのに、何故どれも使わず階名ドレミを横取りして教える人達がいるんですかねえ…ほんとにねえ…ブツブツ
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ヘンデルと(戦慄の右脳改革)音楽箱/BIGLOBEウェブリブログ
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