【課題曲紹介・その3】~ABRSMの新しいシラバス

前回前々回に続いて、英国の検定ABRSMの新しい課題曲からいくつか紹介します。
今回はグレード(G)7と8を取り上げます。
このレベルになると教育作品は概ね卒業で、プロがレパートリーにしている曲のうち易しいものが射程距離内に入ってきますから、課題曲の作曲家も馴染みのある名前が多くなります。
しかしラインナップを見ると、定番有名曲でお茶を濁さず、出来るかぎり新鮮な選曲を心がけていることが分かります。
両グレードとも、リストA、B、Cから1曲ずつ選んでみました。

(リスト分けの基準を再掲しておきます)
A:比較的テンポが速く、指の俊敏性などのテクニックが必要な曲
B:より叙情的で表現力が必要な曲
C:様々な書法、様式、性格を持つ曲

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G7はバッハのシンフォニア15番ロ短調や、スカルラッティのソナタ ホ長調 K.380、以前はモーツァルトのソナタ ト長調 K.283 の第1楽章が入っていたこともあり、日本の中級なかほどくらいの難易度だと思います。

【ヴィヴァーチェ(幻想曲 ト短調~第1楽章)/テレマン】
日本ではバッハのインヴェンションに入る前、その準備として易しいバロック曲を経験する中でテレマンを習うことはありますが、中級レベル作品はほとんど弾かれてないでしょうねえ。


【Cradle Song / Ni Hongjin】
今までもたびたび課題曲に顔を出していた中国作品が、今回もエントリーしました。
最初「Ni Hongjin」を「ニ・ホンジン」と読んでしまい「えっ!?」(笑)


【小さな白いロバ/イベール】
ピアノ曲集《物語》の2曲目で、フルート+ピアノ等への編曲でも有名な曲です。
しかし《物語》は輸入楽譜、仏語に訳がついた日本語ライセンス版共に非常に高価で、しかも何か事情があるのか、オムニバスの名曲集などに収録されているのも見たことがありません。(⇒日本であまり弾かれない原因?)
私は数年前に、米Alfred社版をフツーの値段で買いましたが…。
実はこの曲、かつて教育テレビ「ピアノのおけいこ」で知って以来大好きなんです!
このレベルの近代曲としては小さい手でも弾けるので、そのうちチャレンジしようと思っています。


G8は、バッハ/平均律クラヴィーア曲集第2巻よりト長調のプレリュードとフーガ、ベートーヴェン/ソナタ 作品14の1 ホ長調・第1楽章などが入っており、日本の中級後半くらいに当たります。
実はピアノの先生のお手本演奏動画も、このG8になると数が急に減るんですよ。
学習者が「弾いてみた」的にアップするならともかく、先生動画ではミスが目立つとみっともないし、ある程度時間をかけて練習する必要があるからでしょう。

またアマチュアでこのレベルの曲が「練習すれば近々にきちんと仕上げられる」人は、かなり優秀だと思います。
(延々と)練習している「だけ」の人は山ほどいるんですが。
東大を受験するのは誰でも出来るけど、合格するのは簡単でないのと同じです。
私も、G6⇒簡単すぎず難しすぎずでちょうど良い勉強になる、G7⇒少し難しいが頑張ればなんとか…ですが、G8は今のところ「…?」ですね。

【幻想曲 ハ短調 BWV906/バッハ】
バッハのチェンバロ作品集のCDで「余白にもう1曲」的に入っていることが多い曲ですが、短いながら内容の充実した名曲です。(あとに続くフーガが未完なのが惜しい)
広い音域のアルペジオや手の交差は、スカルラッティのソナタを彷彿とさせますね。


【ノヴェレッテ ホ短調/プーランク】
プーランクのピアノ曲は近年、国内楽譜が少しずつ出るようになってきました。
Twitterでもたまに練習中の動画が流れてきます。
学習者・愛好者が弾く曲としては、手垢がついていない新鮮味があります。


【Jingo/Christopher Norton】
このレベルのジャズやロック系の作品を、上手い人が弾くとんな感じ…の見本ですね。
文句なしにカッコいいです!
弾いてみたいけど、難しそうだなあ~(苦笑)…手の大きさも要りそうだし。
先ほどのBWV906みたいな曲なら、一生懸命練習すれば自分でもカタチにするくらいはできるかも?と思いますが、こういうのは自信がないです。
何とか音を並べられたとしてもノリが…

(動画内のリンクからYoutubeで御覧ください)

以上、3回にわたり様々な課題曲を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
各リスト3曲目まではABRSMのグレード別課題曲集に収録され、アマゾン等で買えます。
日本のピアノ教育は、ある程度のレベルまでは練習曲やそれに代わるような曲がレッスンの中心で、その内容も50年前!と大して変わってないような状況です。
しかも「ピアノ学習者=子供」の前提で定着してしまった教材も多く、「今の自分に弾けるような曲は、つまらない練習曲か子供っぽい曲ばかり」と思っている大人の学習者も、初心者を中心にたくさんいるのでは?
しかしそんなことはありません。
ピアノ曲の海は果てしなく広大で、その気になって探せば、どんなレベルでもステキな曲がたくさんあるのです♪

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