音階練習で階名が聴こえてくる!?~ピアノ「固定ド奏」からの脱却【3】

楽譜を音程読みしながら、手元を見ないでピアノを弾くために、ぜひやっておきたい基礎練習があります。
はい、それは音階練習♪
前回の記事で書いた「隣の音」は、楽曲のその部分が何調かによって違ってくるからです。
音階練習は、指慣らしやテクニックの養成だけでなく、楽典の勉強、耳の訓練でもあり、音楽の基礎と言えます。
もちろん、手元を見ないで弾けるようになるためにも超有効です。

とりあえず2オクターブの上行・下行を、楽譜を見ながら(運指にも気をつけて)片手ずつゆっくり弾いてみましょう。
注)ハノン教本の39番では難しすぎるので、簡易にした楽譜を用意するなどしてください。
手元を見るかわりに、頭の中で「この音符がここかな?」と弾いている鍵盤をイメージします。
調号によって♯・♭となる音に色で印をつけてみました。↓↓↓
スケール.png
白鍵が平野、黒鍵が山と考えると、変ロ長調は「山からスタートしてすぐ平野に降り、少し歩くとまた小さな山があって、それを越えたらしばらく平野を歩いて…」のようになりますね。
ホ長調はどうなるでしょう、実際に弾いて感じてみて下さい。
鍵盤の地理を把握し、手や指が今どの辺にあるのか、感触で分かるようになることがとても大事なのです。

音階練習が習慣になり、運指を覚えてしまう頃には、各調で使う鍵盤セット(主音の音名・位置や、白鍵・黒鍵の組み合わせなど)も自然と身についているでしょう。
24の長・短調全部を、ゆっくりで構わないので、目をつぶっても弾けるようになってください。(数年かけてでも、やる価値は十分にあります)

さてここで、目をつぶって変ロ長調の音階を弾いたら、「これってドレミファソラシド?」と感じる人いませんか。
「固定ド」でピアノを弾いていた時は、音符を「シ♭ドレミ♭ファソラシ♭」と読んでいたため、気づかなかったかもしれません。
でも「固定ド」から開放されてみると、変ロ長調だけでなく他の長音階も(ハ長調と同じように)「ドレミファソラシド」に聴こえる人は多いはず。
ただ調によって「ド」になる音の高さが違うだけです。
ハ音がドになるのがハ長調、変ロ音がドになるのが変ロ長調、嬰ヘ音がドになるのが嬰ヘ長調…(以下同様)

この「ドレミ…」が階名で、何調であってもミとファ、シとドの音程が半音、それ以外の隣り合う音程が全音です。
また、ド-ミは長3度、レ-ラは完全5度など、同じ階名の組み合わせが決まった音程を表しています。
ですから階名に対応する音程が歌えるように訓練しておけば、「ドミレソ」などと階名をイメージしただけで、その旋律が歌える(=どんな音楽か分かる)ようになります。
もし楽譜から階名が読み取れるならば、楽器で鳴らしてみなくても、音楽が脳内で流れるのです!
これが本当の意味で、楽譜が読めるということです。
楽譜から音楽がイメージできれば、音源に頼る必要もないし、間違えて弾いた時も「耳で」すぐ分かります。

このような、楽譜と音楽の橋渡し能力がソルフェージュ力です(もちろん音程だけでなくリズムの読み取りも必要ですが)。
つまり、弾いている鍵盤が感触で分かる勘ソルフェージュ力があれば、大きな跳躍などを除いて「この鍵盤でいいのかな?」と手元を確認しなくても済む ─── 楽譜を見ながら弾くことができるんですね。

最初からその方向でピアノを教えればいいのです。
しかし日本には変ロ長調の音階が「シ♭ドレミ♭ファソラシ♭」としか聴こえない「固定ド耳」、すなわちドレミ階名が学べない音感にされていたり、階名を使ったソルフェージュ指導ができない(というより階名を知らない?)音楽の先生が当たり前にいて、多くのピアノ学習者は耳でなく目で弾く「固定ド奏」が当然のようになっています。
これでは音楽的に行き詰まってしまうのも当然です。
特に、その多くが相対音感者と思われる「大人になってピアノを始めた人」が、「固定ド」教育のせいで階名ソルフェージュができない・習えない状況になっていることは大きな問題だと思います。
ソルフェージュって本来、階名で行うものなんですけどねえ…!?

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この記事へのコメント

うぐぅ~来訪者
2019年08月25日 06:26
わが意を得たりという気分です。
私も、音名がどうしても速く読めず、7年も無駄に過ごしてきました。
楽譜が読めること=音名がすべて一瞬で読めることと思ってたし、まとめ読みとか、記号とか風景、模様のように読むという言葉の意味も全く理解していませんでした。

>「固定ド」教育のせいで階名ソルフェージュができない・習えない状況になっていることは大きな問題だと思います。
これは、早計かなと思います。
”若いソルフェージュの先生”は意外と「音程感」を意識してるように思います。
ただ、年配の先生も、実は無意識に音程で捉える方法を使ってるように思います。
REIKO
2019年08月26日 14:57
うぐぅ~来訪者さん、コメントありがとうございます。

>まとめ読みとか、記号とか風景、模様のように読む

はい、そういう楽譜の見方ができるよう、初歩の段階から少しずつ心がけるのが大事(先生もそのように指導すれば良い)なのですが、「ドレミ(固定ド)に直してその鍵盤を探して弾く」方法に執着してしまうと、いずれ行き詰まってしまうんですね。
ピアノ教師はもちろん、挫折せずにピアノが続いている人や、短時間で曲が仕上げられる人の多くは、音符を1つ1つドレミに直してなどいないはずなんですが…

>”若いソルフェージュの先生”は意外と「音程感」を意識してるように思います。
>ただ、年配の先生も、実は無意識に音程で捉える方法を使ってるように思います。

もしかして、階名(移動ド)は新しいドレミの用法だと誤解なさってないでしょうか?
日本では、年配者(私はもうすぐ60歳です)の方が、学校で階名を習った人が多く、ごく普通の人でも階名を知っているケースが多いです。
戦前からドレミで階名唱していたのですから。

それがいつの間にか、ドレミが音名のように使用され(いわゆる「固定ド」)、階名教育ができない状況になってしまったのです。
特に子供の頃からピアノを習い、音大に入学したような人は、ほとんど階名を知りません(というか、ドレミ音名で絶対音感が付いていると、階名が「できない」)。
だいぶ前から日本の音大は「ドレミ音名絶対音感者」の巣窟なんだそうです。

そういう人達が指導者になれば、「固定ド」ソルフェージュしか教えられません。
教師自身が「音程感」を意識していても、それに何らかのラベリング(=階名)をして学習者に伝え、生徒が身につけたかどうか確認する方法がなければ指導にならないわけです。
「ピアノを弾くにもソルフェージュ力が必要」と言っているピアノの先生は多いですが、「固定ド」でピアノを教えていて一体どうやってソルフェージュ指導をするのだろう?と大いに疑問です。
うぐぅ~来訪者
2019年08月29日 14:14
返信ありがとうございます。

>もしかして、階名(移動ド)は新しいドレミの用法だと誤解なさってないでしょうか?
いえ、新しいとか古いとかは考えてないですよ。

…というのは今は亡き父が私がピアノの楽譜を前に「えーと ド…これはミ… 次はえーとえーと」とかうなってると、「お前、ピアノでドレミとかバカか?、それは”CDEFGABC”と読むんだ!」とか、”独特”のハ長調の音階読みを披露していたからですw(14歳~17歳までピアノ教室でピアノレッスンを受けてました… 37歳で再開 45歳で現在に至るって感じです。)

もちろん、常識的だった私と姉は、鼻で笑って「ちがうよードレミファソラシドだよー学校で習ったもん!」と一顧だにしなかったわけですが…^^;

悲劇だったのは、私が30年以上もその父の言葉の意味をほとんど理解しないままでいたというその一点でしかないです^^;

ただ、楽典を勉強するようになってからは、思えば”含蓄のある言葉”だったのだなと思うわけですがw

音大の生徒たちが固定ド偏重主義になるのはある意味で当然だと思います。
だって、基本、絶対音感的に音の名前を定義しなければ、

「ねーそこはド(C)を出してよ!」
「え?ド(B♭)だよ?」
「あんたの出した音はB♭でしょ!」」
「うん、だから”ド”だってば!」

っていう漫談が成立してしまいますからね^^;

どちらかが「B♭管の”ド”」か、音名の「ド」あるいは最初から「C」かに折れないと会話が成立しなくなりますもんね。

私の父もそういう事も含めてアルファベットでの”音名”を教えたつもりだったんでしょうね^^;
悲劇だったのは、私たち姉弟には”受信能力”がなかったことで…^^;

若いソルの先生は聴音で私が詰まると、「そこは隣の音と比べて何度くらい離れてると思う?」っていい方を平気でしてくるので、音程を意識してるんだなって思いました。それが辛いという様子も見せたこともないですね。

年配の先生の場合は、私が和音の読み方を”音名の塊”として捉えていた時に、
「そこの連続する4つの和音は中の音はずっと一緒で、ベースと一番上の音だけが、動いてるだけでしょ!難しいことは何もないのに何でよめないかな~~」っと嘆かれていたのを思い出したからです。

なので、先生本人は、無意識の世界では音程でも捉えているけど、どう伝えるか、楽典的な共通のコンセンサスが私との間になかったがために、技法とか、譜読み術としては、私に明確に伝授できなかったのだろうと考えたわけです。

私に音程の知識があるとわかった今では、読み方を間違って訂正されても、「ああ、内音はずっと同じって記憶してるから、修正は簡単です!」というと、笑顔で、「いまはそうよねー、楽になったわ」みたいな会話が成立してます。

先生も教えるには楽典、特に”音程の知識”が生徒にないと思うと生徒に教えにくいのかな?とちょっと思ったわけです。




REIKO
2019年08月31日 17:16

>いえ、新しいとか古いとかは考えてないですよ。
それはどうも失礼いたしました。

>”独特”のハ長調の音階読みを披露していた
それは「階名(移動ド)」のことですね?
お父様は、音名はCDE、階名はドレミと「使い分けて」いらっしゃったのではないですか?素晴らしいです!
それが本来の(楽典に沿った)用法で、最初からそのように教えれば何の混乱も不都合も起きないのです。
しかしいつの間にか、楽器(特にピアノ)のレッスンを中心に「ドレミを音名のように使い、楽器操作と結びつけて教える」ようになってしまったのが問題なんですね。

>音大の生徒たちが固定ド偏重主義になる
音大で「~主義になる」というより、現在では受験以前から「固定ドしか知らない」人が多いうえ、小さい頃から音楽を習っていて「固定ド+絶対音感」がセットになっているような人でないと、ソルフェージュ試験を突破できず音大に入りづらい、ということです。

移調楽器については、「実音◯」「記譜◯」の音名で指示すればよく、本来「固定ド」は必要ないものです。
(学校吹奏楽の、移調楽器の記譜音を「固定ド」で読むというローカルルールのために、余計な混乱が起きているのが実情)
移調楽器を含むスコアを読む時は、全パート階名で読めば簡単に音楽がイメージできるのに、「固定ド」のせいでそれができない人が多いという、負のオマケまであるんですけどね。

>先生本人は、無意識の世界では音程でも捉えているけど、どう伝えるか、楽典的な共通のコンセンサスが私との間になかった
>特に”音程の知識”が生徒にないと思うと生徒に教えにくいのかな?

知識だけでなく身体感覚でも音程を学ぶのに、最適(というよりほぼ必須)なのが階名です。
階名抜きでそれをやろうとしても、上手く教えられない&身につかないことでしょう。
音程感覚を体に刷り込み、長3度ならその音程がパッと歌える&イメージできるようにするには、階名唱が有効な練習方法になりますが、「固定ド」でピアノを習ってしまうとそれも難しくなります。
そんなこんなで、音楽を学ぶ上でたくさんの支障が出ているのが、現在の日本の現状です。