ヘンデル~オラトリオ「ベルシャザル」クリスティ盤

ウィリアム・クリスティの自主レーベル第一弾となった、ヘンデル「ベルシャザル」を聴いてみました。

Handel: Belshazzar
Les Editions Arts Florissants
2013-10-28


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HMVの紹介ページはこちら

台本はユダヤ人のバビロン捕囚(Wikipedia)とその解放の物語で、旧約聖書のダニエル書:第5章などを元に、ジェネンズが書いています。
内容に感動したヘンデルの筆が非常に速く、台本の続きをジェネンズに催促したのは有名な話。
このオラトリオ、最低限以下の予備知識があれば楽しめると思います。

・ベルシャザル…バビロン(アッシリア首都)の王
★自堕落な毎日に明け暮れ、捕囚しているユダヤ人の神エホバを冒涜する行為に及ぶ
・ニトクリス…その母
★息子の愚行に心を痛め、王国の前途を憂っている

・ダニエル…捕囚されているユダヤ人の預言者
★賢者の一人で、空中に現れた手が壁に書いた謎の文字(ベルシャザルの敗北を示唆)を解読

↑↑↑彼らの居るバビロンは、城壁とユーフラテス川によって守られていますが、この二人↓↓↓が率いる軍が…

・キュロス…ペルシャの王子
・ゴブリアス…アッシリアの貴族、息子をベルシャザルに殺されたので復讐したい

干上がったユーフラテス川の川底を歩いて城内に侵入、ベルシャザルを殺して、囚われていた大勢のユダヤ人をめでたく解放!


恋愛要素などが全くない叙事的な展開の中に、ニトクリス(聖書に彼女の名前は出てきません)を紅一点で配し、母と息子の感情の交錯を加えた台本は秀逸で、これがなかったら感情移入し辛い作品になっていたかもしれません。
HMVの紹介ページでは「脇役のニトクリス」となってますが、全然脇ではないと思いますよ。

バビロン人、ユダヤ人、(城内に攻め入る)ペルシャ人&メディア人が、それぞれ異なる様式で作曲されている合唱、有名なベルシャザルの饗宴とそれに続く「壁に字を書く手」のシーンは光景が目に見えるようだし、音楽的にも聴きどころが多いです。
単独で歌われる有名アリアは少なくも、ヘンデルのオラトリオの第一級作品と言えるでしょう。

クリスティの指揮は非常に雄弁かつ堂々としたもので、歴史ドラマを扱ったオラトリオに相応しい重量感があります。
歌手陣は声だけでなく歌い方にも役の性格が良く出ていますね。
思慮のかけらもない不敬の輩ベルシャザルに対し、クールで知的なダニエル、若き勇士キュロス(英語ではサイラス)、憂いと悲しみに満ちたニトクリス…レチタティーヴォのやりとりだけでもドラマを感じる演奏です。

3枚のCDが見慣れない蛇腹状の紙ケースに入っていて、最初は何じゃこりゃ?でしたが、通常の窮屈な紙ジャケより、取り出し&収納が簡単なスグレモノでした。しかも赤黒のモダンな色調がオシャレ。
ブックレットの最後にはレザール・フロリサンのCD&DVDのディスコグラフィー付き、眺めているとその膨大な業績には驚かされます。

─── とまあ、総合的に素晴らしいアルバムだと思います。やはり新レーベルの評判もかかっているので、力が入ったのでしょう。
これからもレザール・フロリサンには期待大ですね。

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この記事へのコメント

ヘンデル大好き
2014年11月14日 19:35
この投稿をするのが遅れてしまうほど、毎日何度も聴きました。おっしゃる通り、自然と次のCDをローディングしていました。今まで、アーノンクール指揮盤の冒頭でのニクトリスの歌唱、サイラスとの二重唱をつまみ食いして、1回で完聴することがなかったので、「やったぞ!クリスティ」。私はソプラノのS.デーヌマンの大ファンでありましたので、クリスティのフランス物中心に猟盤していましたし、また、彼のヘンデル『テオドーラ』は愛聴盤です。さて、このオラトリオでの各歌手の歌唱は人の存在と感情を微妙に感じられますし、バビロンの捕囚、聖書、とかエレミア哀歌とかゆえに、キリスト教との関連つけ濃厚なこの曲を、人間ドラマ化して、聴かせてくれていますね。また、圧巻なのは合唱曲でした。ソプラノのR.ジョシュアはやはり、クリスティの嗜好なのでしょうか?デーヌマンと、声質で共通な感じがあり、その意味でも楽しめました。次は何を聴こうか一時思案中です。
2014年11月15日 21:00
ヘンデル大好きさん、ご報告ありがとうございます!
>「やったぞ!クリスティ」
ですよね~!
きっと以前から、ここぞという時に「ベルシャザル」を世に問うぞ!と心に決めていたのではないでしょうか。
その気迫が名演を生み出していると思います。
ジョシュアは「セメレ」を聴いて、ちょっと歌い方が堅いかな…という印象でしたが、今回はとても良いと私も思いました。
作品の出来の良さのわりに、認知度イマイチ(有名なアリアやシンフォニア等が無いせいでしょうか)のオラトリオが、この素晴らしい演奏でメジャーになってくれることを願っています。

>次は何を聴こうか
ヘンデルはたくさんありますからねえ~(^ ^;)
有名どころでまだお聴きになってない作品はあるのでしょうか?

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