カリーナ・ゴーヴァン アリア集~プリマ・ドンナ

だいぶ前に出たCDですが、ソプラノのゴーヴァンが歌う「プリマ・ドンナ」と題された、ヘンデル(+ヴィヴァルディとヴィンチ1曲ずつ)アリア集を聴いてみました。

ヘンデル: オペラ集 他 (Karina Gauvin : Prima Donna / Arion Orchestre Baroque, Alexander Weimann) [輸入盤]
ATMA Classique
2012-11-20
カリーナ・ゴーヴァン


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HMVの紹介ページはこちら

このCDは、タイトルやジャケット、上記HMVの紹介文には何も書いてませんが、実はヘンデルが育てたと言って良いイタリア人ソプラノ、アンナ・マリア・ストラーダ・デル・ポのレパートリーを集めたものです。
ブックレットの解説を読んで初めてそれが分かるのですが、どうしてこんな重要なことをオモテに出さないのでしょう!(バカじゃね?笑)
従って、ヘンデル・オペラに出た他の有名プリマ、クッツォーニやファウスティーナのレパートリーを収録した下記のアルバムなどとセットで聴くと、なるほど…なんですよ。

クッツォーニのためのヘンデル・アリア集(ケルメス)
ファウスティーナに捧ぐ~ヘンデル&ハッセ・アリア集(ジュノー)

ヘンデルは当初、イタリアから高額のギャラでスカウトした歌手をプリモやプリマに起用していましたが(それがロンドン聴衆の眼目でもあった)、人気に笠を着た歌手のわがまま放題の態度に嫌気が差し、また厳しい懐具合もあって、目をかけた「まあまあの歌手」を手元で育てて使うようになります。
そのような歌手の多くは、ヘンデルの音楽活動後半にオラトリオで活躍した英国人でしたが、オペラ時代の例外的な歌手がストラーダです。

CD1曲目のアリアが採られている1729年「ロタリオ」がロンドン・デビューとなったストラーダは、「アルチーナ」「パルテノペ」「ベレニーチェ」のタイトル役や「オルランド」のアンジェリカなどを歌い、多くの再演物にも関わりました。
待遇などに不満があると、手のひらを返すようにライバル団体に鞍替えしたセネジーノやクッツォーニとは違い、ストラーダはヘンデルによって磨かれただけあって、長期に渡り彼と良好な関係にあったそうです。

…となると、作曲家と歌手の関係だけだったのかな~~???と下衆な想像もしたくなりますね。
しかしストラーダは、不細工系(笑)のカストラートでも彼女の横に立てば全くそれが気にならなくなる…と言われるほどの、器量が悪い女性でした。
ぶっちゃけだったそうです。
太ったヘンデルを豚に見立てた当時の風刺画もあるので、どっちもどっちかもしれませんが、これでは想像力も萎えるというもの…orz

しかしそれでも彼女がプリマの座を勝ち得たのは、ひたすら美声と歌唱力ゆえなんでしょう。
冒頭の「Scherza in mar」はヘンデルのソプラノ用技巧的なアリアの典型で、彼からこういう曲を与えられること自体、相当な技量があったことをうかがわせます。
1曲ずつ収録されているヴィンチとヴィヴァルディ作品は、ストラーダがロンドン・デビューする前にイタリアで歌っていたレパートリーで、「Scherza~」以外のヘンデル作品がやや沈んだ曲調が多い中、明るくポップなリズムと旋律で印象的。
最後の「Care selve」は「オンブラ・マイ・フ」タイプのアリオーソで、昔からピアノやモダン・オケの伴奏で良く歌われていますが、古楽演奏のアリア集では意外と録音が少なく、今回私もやっと手に入れた次第です。

ゴーヴァンの歌・オケ伴共に、特段の個性は感じませんが、十分に上手く安心して聴けます。
歌唱は同じソプラノのケルメスよりも、こなれている感じがしますね。
ともあれ「歌手別レパートリー」に興味ある方は、揃えておいて損はないCDですよ。

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この記事へのコメント

クラシック大好き
2013年10月31日 02:04
私はGauvinのファンです。今まで、カーチス盤のヘンデルオペラ=Tolomeo、Ezio、Ariodante、Aicinaで。Apollo e DafneやカナダATMAレーベルでの当盤や『Handel Arias』(私はこちらを愛聴)。ヴィヴァルディ=Tito Marino、Farnarce。リュリ=Psycheと聴いてきました。こんなBlogを掲載されている専門家のお人に申し上げるのは失礼なのですが、もし、Gauvinのヘンデルオペラをとおっしゃるのであれば、昨年秋発売のDeccaの『Alessandro』を是非。タイトルロールはCencic。アマゾンで視聴も可能です。私もリスナーレヴュを投稿しました。
2013年11月01日 16:47
クラシック大好きさん、コメントありがとうございます♪

>Deccaの『Alessandro』
はい、それは(記事にしていませんが)少し前に購入しました。
もっとも、ゴーヴァンが聴きたかったというより、もう一人のプリマ、レージネヴァの方に興味があったのですが。(^ ^;)
「アレッサンドロ」は当時も、二人のプリマが競演するということが最大のウリだった(もっとも彼女らを平等に扱うべく台本も音楽も気を使いすぎで、作品的にはヘンデルの中ではBクラス?)ので、録音でも良い女性歌手が二人揃うことが大事ですね。
まだザッとしか聴いていませんが、女性歌手に挟まれて、アレッサンドロ役のツェンチッチがちょっと沈んでるかも?な印象を受けています。
(曲も女性陣の方が良い?)

あ、それで私は「専門家」では全くありませんので…ヘンデル・マニアとまでも行かず、まあ一般的な「古楽ファン」です。
これからもどうぞよろしくお願いします。
トラジメーデ
2013年11月25日 23:05
この記事を読んで、このあいだこのCDを買い、結構気に入って聴いております。
ゴーヴァンがアンジェリカを歌っている「オルランド」の全曲盤もつい最近出ましたが
解説書の紹介に「カナダのスーパースターソプラノ」と書いてあって「ほおっ」とおもいました。
2013年11月27日 13:32
トラジメーデさん、コメントありがとうございます。

>カナダのスーパースターソプラノ

おっ!?カナダのスーパースターですか、なるほど。
ヘンデルを得意にしている女性歌手はメゾソプラノが多いですが、少数派?のソプラノの中では、私もゴーヴァンは好きですね。
透明感のある声と、柔らかく品位のある歌い回しが気に入っています。
同じソプラノのケルメスがちょっと「堅い」印象なので…

>ゴーヴァンがアンジェリカを歌っている「オルランド」の全曲盤

それ私も気になってるんですけどw、どうですか?
「オルランド」はDVDと全曲CDと抜粋CDを1つずつ持っていますが、どれもイマイチだし言語リブレットや英語対訳が付いてないので、何か良い物が欲しいと思ってるんです。
べジュン・メータをオルランドに起用しているヤーコプスが、録音してくれないかなあと期待してるんですけども…。
トラジメーデ
2013年11月27日 21:08
すみません、まだ最後まで通して聴いてないです^^端折って聴いた限りでは、なかなかいいと思いました。
リブレットはカナダ盤だけあって、伊英仏の三ヶ国語のしっかりしたのがついてます。
ヤーコプスはデッカよりCDをリリースする契約を結んでその最初が「オルランド」になるという記事をどこかで読んだ気がします。期待しましょう
トラジメーデ
2013年11月27日 21:39
いま、そのへんに積んであったレコ芸引っ張りだして探したらデッカじゃなくてDG(アルヒーフ)ですね。親会社は一緒ですが^^
2013年11月28日 00:36
トラジメーデさん、情報ありがとうございます!

そうですか、ヤーコプスは「オルランド」録音が決まってるんですね…だったらそれが出るまで待つかなぁw
オルランドは台本が気に入ってるので、オペ対で対訳やりたい気持ちがあるんですよね。
あとヘンデルの現在人気&評価が高いオペラで残ってるのは「セルセ」「オルランド」「アグリッピーナ」で、最低これらは何とかしたいと思ってるのです。
この中では「アグリッピーナ」が、レチが長い&多くて一番大変そうですが…

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