ジュリオ・チェーザレ♪トロメーオ名言集

オペラ対訳プロジェクト、ジュリオ・チェーザレ完訳記念♪名言集、最終回はエジプト側の悪役2人、トロメーオ王と側近の将軍アキッラです。

トロメーオはまだ若く(史実ではチェーザレのエジプト遠征時15歳)、大人のアキッラは彼のブレーンのような役回り。
実は訳していて一番面白かったのは、トロメーオなんです・・・とにかくイヤな奴!

第1幕第5場、王座の独占を夢見る姉のクレオパトラを揶揄して ────

王権なんかより 女らしく
針仕事や糸紡ぎでもやっていろ!


直訳では、針と「つむ」(錘・・・糸を巻き取りながら撚りをかける、紡績機の部品)ですが、分かりにくいので「針仕事や糸つむぎ」としました。
現代に例えれば「女らしく掃除洗濯でもやっていろ!」ですかね~?

トロメーオの女性蔑視は徹底しています。
第2幕第10場、怒ったクレオパトラが軍を率いてトロメーオに向かっていると、アキッラから知らせを受けて ────

軟弱な女の怒りなんざ 恐れるに足らん

呑気に愛妾と戯れているトロメーオに、アキッラは「チェーザレを殺したので、約束どおり褒美にコルネーリアが欲しい」と催促します。
しかし実は、コルネーリアを自分のモノにする魂胆のトロメーオはそれを拒否!

厚かましい!その程度のことで 美女を報酬に要求するのか?
(中略)
俺は王だ、お前への褒美は俺が決める

↑↑あなたの職場にこういう上司いませんか?(爆)
これが長年仕えた自分に対する仕打ちか?と憤慨したアキッラの独白。↓↓

忠実でない者には それを守る義務もないってことか

これでアキッラは、クレオパトラ側に寝返る決意をします。

第3幕第8場、チェーザレ軍が攻め入っているのも知らず、コルネーリアに迫るトロメーオ!

コルネーリア:
どうして私が 亡くなった夫を忘れることができましょう?

トロメーオ:
このエジプトの支配者が別の夫を授けてやるよ

まさに独裁者・暴君の名に恥じない強引な態度です。
しかし彼の実力?は、口ほどでもないんですよね~!
この場に姿を現し、戦いを挑んだコルネーリアの息子セストに、

バカげた口をきいて 今に後悔するぞ

・・・と言っておきながら、あっけなく刺されて死んでしまいます。(笑)
バカ王!

この「ジュリオ・チェーザレ」対訳、ちょうどW杯期間中で妙にテンション上がってまして、当初よりずっと早く完成できました。
今後はちょっとペースダウンしますが、「リナルド」の残りや「アリオダンテ」「アルチーナ」を少しずつ訳していきたいと思います。
ご興味のある方、プロジェクトへの参加をお待ちしています♪

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この記事へのコメント

アルチーナ
2010年07月17日 14:20
コルネーリアのガーデニングにも受けましたけれど・・
やはり、彼女は人気がないようですね・・

トローメオが嫌なやつというのは別にエジプトなんて野蛮人みたいなイメージがあったとかそういう事ではなくて、やはり悪者は悪者らしく・・なのかしら?

オペラは悪者がいないとツマラナイですもんね。
あ・・でも「ベレニーチェ」は主役級がバカでヤナ奴ばかりで
脇役がいい人達なんですよね・・それはそれで珍しいかもしれません・・

でも・・なんかトローメオの発言を見ていると10代のバカ王っていうのも良いですけれど、中年のバカ王でも良さそうな発言ですよね・・
どんな演出がぴったり来るんでしょうね?
2010年07月18日 15:37
アルチーナさん、

>コルネーリア
彼女とセストはセットで出てくることが多く、しかも彼らは登場の度に似たような内容のアリアを歌ってるので、「またかよ、おまいら」(爆)になってしまうんですよね。
彼女のアリア、私もあまり印象に残ってないのです。

>悪者は悪者らしく・・なのかしら?
元々このトロメーオって、姉のクレオパトラと比べて(男だけれど)あまり賢くはなく、「王」には向いてなかったらしいですが、台本ではそれを誇張して書いたのでは?と思います。
ただ、台本の所々に「ローマ(ヨーロッパ?)が上でエジプトが下」と、少なくともローマ側は思っているような表現がありますね。
最後も、チェーザレから王冠を許されたクレオパトラが、ローマへの服従を誓うような言葉があります。

>中年のバカ王でも良さそうな
そうですね♪
台本では、はっきり書いてあるわけじゃないですが、(史実よりも)トロメーオは年食ってて、逆にチェーザレは実際より若い設定で書いてるようです。
ある意味「若さ故の愚かさ」よりも「中年になってもバカな奴」の方が、馬鹿さ加減が上なので(笑)、面白いかもしれないです。
Mev
2010年07月24日 14:35
前回のセスト&コルネリアの段も面白かった。私自身はコルネリアたち好きです。敵討ちをする未亡人と子供という設定は日本でもよくあるし。実際セストは敵を打つわけで、たいしたもんです。それに、こういう「私たちってどうしてこうも不幸なのかしら」という人が居るとクレオパトラの明るさの対局でメリハリがあって楽しいです。トローメオは文句なく大好きなキャラクターです。お馬鹿な俺様ですから安心して(?)笑える。しかし、いくらなんでも10代で未亡人がいいと思うかなあ。そうじゃなくて多分アキッラが「美しい未亡人を報酬にくださいませ」と言ったので与えるのが惜しくなっただけじゃないかしら。若くて愚かな王は審美眼がないので「家臣のほしがるもの」こそ価値があると思っているだけで。
2010年07月27日 22:38
Mevさん、

>私自身はコルネリアたち好きです
お♪ファンがいましたね(笑)!
このコルネリア&セストのシーンは、クレオパトラ&チェーザレに対して、ずっと早い段階から緊張感があって、ドラマを締めてますよね。
しょーもない脇筋で、ゴチャゴチャになってるオペラもあるようですが、この作品は脇筋が成功してるおかげで、面白くなってると思います。
ただ訳してて思ったんですが、この人達、出てくる度に歌うアリアの内容が同じなんですよ・・・(笑)
すぐに敵討ちが成功したら、そこで話が終りになってしまうので、ずっと後まで「引っ張ってる」わけですが、引っ張りすぎ・・・!(^^;)

>トローメオは文句なく大好きなキャラクターです
同感です・・・すごく極端で、その描写も徹底してますよね。
そこがいいです!

>与えるのが惜しくなっただけじゃないかしら
なるほど、それは鋭い指摘ですね。
要するにワガママで、「何でもかんでも欲しい君」なのかもしれませんね。

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