ガラッシの流麗なハープでヘンデル

イタリアの古楽ハープ奏者、マラ・ガラッシの「ヘンデル/ハープのための音楽」を聴いてみました。

Handel - Microcosm Concerto - Harp Works
Glossa
2010-01-19
Mara Galassi & Giovanni Togni


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このCD、以前こちらで予告記事みたいのを書いています
期待のハープ協奏曲HWV294は、(オケ伴ではなく)小型オルガンとハープのデュオ。
他に、チェンバロとフォルテピアノとのデュオが各1曲、残りがソロで、3弦列のトリプル・ハープと、ペダル付きのエラール・ハープが、曲の時代により弾き分けられています。

まず冒頭、組曲ニ短調HVV448(原曲は未出版のチェンバロ曲)の美しいハープの音色に呆けてしまいました!
揺らめく低音は泉の底から湧き上がるごとく、繊細かつ明快な高音は、天上からきらめきながら落ちてくる星のよう、それらをひなびた中音域が、絶妙にブレンドしています。
ハープはチェンバロと違って、意図的に消音しない限り、弾いた音が(減衰しつつも)鳴りっぱなしなので、響きが少しモヤモヤしますが、それがまた何とも言えない美しい余韻となって、空間を満たすのです。

こういう演奏を聴くと、チェンバロなんてただガチャガチャしてるだけの楽器やん!と思ってしまいますね・・・・・(^ ^;)
もう全てのチェンバロ曲を、こんなハープ演奏で聴きたい!と思いました。

完全に耳が昇天しているうちに、最初の組曲が終わり、続いてヘンデルの同時代人、バベルによる編曲(これも本来は鍵盤楽器用)で、「私を泣かせてください」。
たっぷりと装飾をつけて弾かれるアリアの旋律と、それを支える和音がこれまた絶妙の美しさです。
もう全てのヘンデル・アリアを、こんなハープ編曲で聴きたい!と思いました。

と、ここまでは良かったんですが、オルガンとデュオのハープ協奏曲は、イケマセンね・・・
減衰しないオルガンの音が、ハープの美しい響きと余韻をマスクしてしまい、急に平板な音楽になってしまいます。
他のデュオ演奏も、チェンバロとではガチャガチャするし、フォルテピアノとでは(調律の違いのせいか?)音程の微妙なズレが気になるのに加えて、ハープと合わせるとフォルテピアノが、おもちゃのピアノみたいにしか聴こえません。

つまり、ソロの素晴らしさに比べて、デュオになると途端に音楽がチープになるんですよ。
う~~~ん、残念!
全部ソロ演奏で録音したら、さぞかし素晴らしいアルバムになったと思うのですが。
音や楽器を増やせば、豊かな音楽になるとは限らないという、良い例だと思います。
途中何度もおい、そこの鍵盤!邪魔だから黙ってろ!って叫びたくなりました。
ガラッシは、ほんとに上手いので・・・余計なモノは付けなくていいってことですね。

なお収録曲中、原題に「ヘンデルによる~」と付いていても、実はほとんどヘンデル作品とは関係ない、名前を借りただけのものが2曲あります。
これらは時代的には後の作品でも、バロック風(というかヘンデル風?)に上手く作られていて、なかなか楽しめました。
ソロ曲だけでも40分近い収録時間なので、デュオは捨てても(笑)、ガラッシの腕前と古楽器ハープの魅力は十分味わえます。
特に、撥弦楽器好きの方はどうぞ♪

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この記事へのコメント

2010年01月15日 10:30
ヘンデルイヤーが終わってもヘンデルを聴きたくなりますよね。(笑)
余韻のあるハープと比較してチェンバロが物足りなく思われるのは、今私が感じていることとかなり関連があります。
オルゴールの演奏と言うのはふくよかな余韻がありそれが味わいになっていますが、これを意図的にとめたらきっと魅力が半減するのでしょうね。
Saydiscでハンドベルの演奏も聴いているのですがこちらは意図的に余韻を止めたりするので、CDを聴いていて(あれ?ハンドベルってこんなにあっさりしていたっけ?)と思ってしまいました。
子供の頃、ピアノのダンパーペダルが大好きでした。
後になって「音が濁る!」と指導されてからは子供の時のようには使えないですが。
でもオルゴールだと別に「濁っている」とは感じませんものね。
Hokurajin
2010年01月15日 20:03
このCD、注文中のままでまだ手に入っていないものです。
ブログを読ませて頂いて、ますます楽しみになってきました。
ヘンデルと言えばオルガン協奏曲を編曲した有名なハープの曲があるけれど、奏者はそう言ったところからヘンデルにはハープがお似合いかも、と思ったのでしょうかね。
とにかく、楽しみです。聞き所も教えて下さってありがたいです(笑)
Mev
2010年01月15日 21:50
ハープ協奏曲はすごく好きです。オルガンとのデュオも聞いてみたいと思っていたのですが、そうですか、オルガンはお呼びでなかったですか~。ハープとリコーダーという組み合わせはどうでしょうねえ。聞いてみたいなあ。
2010年01月17日 20:20
Ceciliaさん、

>チェンバロが物足りなく思われるのは
私には「余韻」の問題というよりも、指で直接弦をはじくハープと、機械的な「装置」ではじくチェンバロの違い、というのが大きく感じられました。
やはり指の方が、圧倒的に細かなニュアンスがこめられると思います。
もっともそれは、奏者が上手ければ・・・の話ですが。

>オルゴールだと別に「濁っている」とは感じませんものね
そうですね。
現代ピアノは音の減衰がかなり遅いですが、オルゴールはもっと短時間で音が消えてしまう違いも関係してると思います。
それからオルゴールの場合は、むしろ「たくさんの音の響きが交じり合う美しさ」が特長ですから。
2010年01月17日 20:25
Hokurajinさん、

>ハープ
当時イギリスでは、それなりにハープの演奏が盛んだったこともあるようです。
このCDでは、トリプル・ハープの方にわざわざWelsh(ウェールズの)と付けられています。
そうでないハープと、具体的にどこが違うのかは良くわかりませんが。
バロック時代は、楽器の「規格」というものがまだ決まってなく、国や地域によって色々細部に違いがあったのだと思いますね。
2010年01月17日 20:31
Mevさん、

>ハープ協奏曲
私も好きなんですが・・・(^ ^;)
いっそオルガンなしでソロでやってくれた方が、良かったと思います。
ハープのニュアンスに富んだ響きが、オルガンの硬直した音で台無しになってしまうんですよ。

>ハープとリコーダーという組み合わせはどうでしょうねえ
リコーダーが旋律で、ハープが伴奏ならバッチリ素敵だと思いますよ。
ギター、ハープ、三味線、バンジョーなどの撥弦楽器は、音が自然に減衰するので、音が持続する楽器や歌の邪魔をしないので、伴奏として最適だと思います。
現代ピアノは音が長く響きすぎですよね・・・。

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