「リナルド」~あらすじと問題点

「リナルド」(Rinaldo)は、ヘンデルがイタリア修行の後、1711年にロンドンで最初に上演したオペラです。
興行主の、ヘイマーケット女王劇場支配人のヒルは、イタリア語が良く分からない観客にも楽しめるよう、スペクタクル的演出が売りの「魔法オペラ」を企画しました。
ヘンデルは「リナルド」の作曲にあたり、イタリア滞在中の作品を大胆に再利用し、その時点での、自分の全てを注ぎ込んで音楽を完成させています。
イタリアから呼んだ花形カストラート、ニコリーニの名唱も手伝い、「リナルド」は大ヒット、これがヘンデルのその後の人生を決めることになりました。

<あらすじ>

舞台は11世紀のパレスチナ。十字軍がエルサレムを包囲し、陥落は目前ですが・・・
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【第一幕】
十字軍の将軍ゴッフレードは、娘アルミレーナと相思相愛の勇士リナルドに、「戦いに勝ってエルサレムを手に入れたら、娘との結婚を許す」と約束。
一方、窮地に陥っているエルサレム側は、王アルガンテが十字軍に3日間の停戦を要求、恋人でもある魔女アルミーダの力を借り、形勢逆転を狙おうとする。彼らは、十字軍の大黒柱リナルドを無力にすれば勝機はあると考え、そのためにまずアルミレーナを誘拐することにする。
美しい場所でリナルドとアルミレーナが愛を語らっていると、黒い雲の塊に襲われ目の前でアルミレーナが連れ去られる。茫然自失のリナルドらは彼女を救うために、その知恵を授けてくれる魔法使いの住処を目指すことにする。

【第二幕】
リナルドは目的地に向かう途中、ゴッフレードとエウスターツィオが止めるのもきかず、まんまと敵の誘惑作戦にはめられ、舟で連れ去られてしまう。
アルミーダの魔法の庭では、捕われのアルミレーナが身の不運を嘆き、見張りのアルガンテからの誘惑に耐えている。
一方、アルミーダの前にリナルドが連れてこられると、彼女は敵であるはずの彼のりりしさに一目惚れ。しかしその思いを告白しても、リナルドは全く相手にしない。そこでアルミーダは魔法でアルミレーナに変身し、彼を誘惑しようとするが、これも上手く行かず絶望する。
逆に、変身しているアルミーダをアルミレーナと間違って甘い言葉で誘惑したアルガンテは、アルミーダから嫉妬の怒りを買い、二人はケンカとなる。

【第三幕】
ゴッフレードとエウスターツィオは、ようやくリスト教徒の魔法使いの住処に到着、彼からもらった魔法の杖で、アルミーダが操る地獄の怪物達を退け、捕われのリナルドとアルミレーナを救出する。
いよいよ十字軍は、エルサレムに最後の攻撃をしかける。ケンカをしていたアルミーダとアルガンテも、仲直りして応戦するが、側方から攻めるリナルドの作戦が功を奏し、ついにエルサレム側は力尽きて敗北。
捕虜となったアルミーダとアルガンテはキリスト教に改宗、リナルドとアルミレーナは結ばれて、めでたしめでたし・・・♪


リナルドは英雄役ですが、簡単に敵の作戦にハメられてしまうなど、イマイチ人物設定に一貫性がありません。
アルミレーナは単なるお姫様役で、人間的深みに乏しく、魔女アルミーダの激情表現も、ヘンデルの魔法オペラの傑作「アルチーナ」と比べると、小粒で食い足りないです。
そもそも、第二幕でいとも簡単に「四角関係」になるあたり、ほんとに安易な展開なんですよね~!
逆に、ゴッフレードとエウスターツイオは、(色恋とは関係ない)単なる軍人的役回りに終始しています。

まあ「リナルド」の台本は、B級オペラ・セリアの典型かもしれません。
ですが一方で「魔法オペラ」に必須の、小鳥が舞う並木道、魔法にかけられた美しい庭、恐ろしい山と洞窟、火を噴くドラゴン、空から降りてくる黒い雲・・・などは非常にバラエティ豊かで、観客を飽きさせないように上手く配置されています。
巨費を投じて(笑)、これらを忠実に再現すれば、現代でも相当なスペクタクル・エンターテインメントとして通用するのではないでしょうか?
(もちろん、歌や演奏が水準に達しているのは大前提ですが)

劇団四季の「ライオンキング」や、市川猿之助のスーパー歌舞伎「新・三国志シリーズ」などを見ていると、(装置的にはローテクであったとしても)当時の魔法オペラってこんな感じだったのでは?と思う所が随所にあります。
ただこれらの公演は、ある程度のロングランを前提に予算が組まれているので、ああいう派手な演出ができるのですね。
・・・・・・オペラじゃ無理なのか・・・?

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この記事へのコメント

2009年07月03日 20:42
今回も分かりやすいドット絵相関図、ありがとうございます♪
私がブログ記事を書くときに読んだウィキペディア記事では、ゴッフレードの肩書きが説明不足でした。
アルミレーナとアルミーダの2人の名前って、似通ってるような…。
2009年07月03日 22:52
TBさせていただきました。(大したこと書いてないですが・・・。)
レッスンで観ていただいたころ、情報不足でどんな風に感情を込めればよいのかさっぱりわかりませんでした。
今はたくさんの情報が手に入ってうれしいです。
NMLじゃなくて舞台を観たいなあ~!
それも仕掛けがいっぱいの!
2009年07月04日 17:31
ことねっちさん、
>アルミレーナとアルミーダの2人の名前って、似通ってるような

そうなんですよ、これは台本作家が悪いですよね・・・「アルガンテ」も合わせると、「ア」で始まる人物が3人もいます。
とにかくヘンデルのオペラでは、題名も登場人物も「ア」が多い!
紛らわしくて困ります・・・(^ ^;)

Ceciliaさん、
TBありがとうございます♪

>舞台を観たいなあ~!
>仕掛けがいっぱいの!

私も同感です。
こういう作品は、音楽や台本だけでなく、やはり「見た目」も合わせてナンボだと思います。
「この話をディズニーがアニメにする」⇒「儲ける」⇒「そのお金で豪華舞台上演!」という流れにでもならないでしょうか・・・?
koh
2009年07月04日 21:18
魔法オペラはアニメにしたらいいかも知れません。歌手がアテレコで歌えばいいわけですね。
モーツァルトの「魔笛」なんかもアニメ化合うのじゃないでしょうか。
2009年07月05日 15:17
kohさん、
>魔法オペラはアニメにしたらいいかも

ほんとにそうですよね。
「リナルド」、一応元ネタは十字軍がどうとか・・・っていう史実ですが、展開は他愛のないファンタジーですから。
アニメになれば、作品の知名度も上がりますよね!
(ほんとにやってくれないかなぁ、ディズニーさん・・・♪)

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    Excerpt: Handel: Rinaldoアーティスト: Giles Tomkins,Sean Watson,George Frederick Handel,Kevin Mallon,Jennifer Enns.. Weblog: Ceciliaの部屋 racked: 2009-07-03 22:49