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森の水車〜思い出したぞ階名入りの歌(2)

2017/04/29 17:49
昭和の流行歌についてあれこれ考えていたら、ファミレドシドレミファ〜♪という階名が歌詞に織り込まれている森の水車(作詞:清水みのる 作曲:米山正夫)を思い出しました。



昭和17年に女優・高峰秀子の歌でレコード発売されましたが、曲調が英米的で時局にそぐわないと発禁処分になってしまいました。荒井恵子のラジオ歌謡や、並木路子のレコードで広まったのは戦後のことです。
詳しくはこちらのサイトで

自分が生まれるずっと前の曲ですが、小中学生の頃にテレビの懐メロ番組やら古いSP録音をLPに復刻したレコードを、昭和一桁生まれの両親が楽しんでいて、何となく側で聴いていたらメロディーをあらかた覚えてしまったんですね。
ですから昭和20〜30年代のものはもちろん、戦前の流行歌や戦時歌謡、愛国歌、軍歌のたぐいまで、ヒット曲なら大体知っています。
「森の水車」は、NHK「思い出のメロディー」等で荒井恵子が何度か歌っていて、渡辺はま子の「蘇州夜曲」や藤山一郎の「東京ラプソディ」などと共に、懐メロ番組で登場を楽しみにしていた曲のひとつです。
では階名を見てみましょう♪

ドーレミファミミドー レレドシドーー
ミーファソラソソミー ファファミレ#ミーー
ドーレド↑ラソソミー ドーレド↑ラソーー
レーミファ#ソラファ#ミレ (ソーラシドレシラソ)
レ↑ドシーラソーー (ソ↑ファミーレドーー)

      ★カッコ内は属調転調とみなして読み替えた場合

ソソソド ソ  ソソソド ソ
ファミレドシドレミファーー
ファファファファ↑レ シ  ファファファファ↑レ シ
ソファミレドレミファソーー
ソソソド ソ  ソソソド ソ ラーシドラソーー
↓ドーレミファミミドー レードシドーー


こちらのサイトで指摘されているように、この曲は前奏(戦後の並木路子盤では間奏にも)にドイツの曲が引用されていて、それが英米的というか洋風?に聴こえたのが発禁処分の主な理由らしいですが、旋律の階名からもだいぶアチラ的な臭い(笑)がします。
まず1行目から「ファ」と「シ」が登場、戦前・戦中の歌に多い日本的なヨナ抜き長調ではないことが分かります。
そして2行目は1行目の三度上をピッタリなぞっており、ここで「カエルの合唱」や「静かな湖畔」などの、海外起源の輪唱曲を連想する人も多いのではないでしょうか。
「ミレ#ミ」と、レを半音上げた刺繍音の動きも洋風です。
さらに4行目で「ファ#」が登場、5行目で属和音上で半終止、これもクラシック音楽で常套のアチラ風展開ですね。

実際の階名唱で、このような一時的転調(この後すぐ原調に戻る)の際に読み替えるかどうかはケース・バイ・ケースです。
読み替えない場合、「ファ#」には派生音の読み(例えば「フィ」など)を当てます。
一方、読み替えれば派生音は必要なく、音程も取りやすくなります。
読み替えない場合の「レ↑ド」は不自然な印象ですが、読み替えた「ソ↑ファ」はある程度階名唱に慣れた人なら、おなじみの音程ですね。

サビに入りコトコトコットン♪の次でファミレドシドレミファーと階名がそのまま歌詞に出ます。
歌詞の締めではなく中間で出ること、ファで始まりファで終わる半端?な階名なのが少し不思議です。
この部分に「仕事を励みなさい」を持ってきて、「ソファミレドレミファソー」の箇所を階名にした方がまだ収まりが良いと思うのは私だけ?

そしてその間に挟まっているファファファファ↑レ シ!
パッと見「固定ド」かと思うような異色の階名 ─── でも自分的にはこの辺が気に入ってたんだろうなと思います。
やはりヨナ抜きズッポリの曲より「そうじゃない」懐メロが、オシャレな印象で好きだったんですね。
実は、当時の長調で書かれた軍歌や愛国歌・戦時歌謡を調べてみると、ヨナ抜きではない曲も結構あるのですが、多くはヨナ抜き的な特徴が曲の随所に残っています。(例:愛国行進曲隣組
しかし「森の水車」はそれがほとんど無く、やはり当時としてはかなり洋風だったのでしょう。

作曲側は、同盟国のドイツ風なら検閲を通ると踏んでいたようですが、当局にしてみれば「洋風」は皆「英米風」だったのかもしれません。
ただこの曲が昭和17年に発禁にならなかったとしても、当時の時勢を考えると大ヒットは難しかったと思われます。
むしろ昭和20年代に日の目を見たことが、ヒットにつながったんですね。
終戦後「東京の花売り娘」「憧れのハワイ航路」「あこがれの郵便馬車」など、妙に明るく健康的な歌が好まれた一時期があったのです。
「森の水車」もそれにピッタリはまったのでしょう。
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すかんぽの咲くころ〜思い出したぞ階名入りの歌(1)

2017/04/26 22:15
前回紹介した「J-POP進化論」を読んでいたら、昭和の流行歌&歌謡曲に関する資料が欲しくなり、そういえば実家にそんな本があったはずだ…と思い、父から何冊か借りてきました。
その中に、日本人の心に残る名曲をたくさん残した、中山晋平と山田耕筰の出版楽譜の表紙(竹久夢二などのイラスト入り)がカラー写真で載っていて、何気に見ていたら ────北原白秋 詞、山田耕筰 曲 すかんぽの咲くころというのがあるじゃないですか。

ああ、すかんぽの歌…昔よく歌ったような?
ええと「♪土手のすかんぽ ジャワさらさ〜」だったっけ? 「昼はホタルが…」
…あ、ああっ!?最後に階名入ってた!

はい、こういう曲です↓↓↓(もともと1番だけしかありません)



最後、「夏が来た来た ド、レ、ミ、ファ、ソ」です!
原曲はニ長調ですが、もちろん移調した演奏もあり、いずれにせよこの詞は音名でなく階名ですね。
ニ長調で歌うと、最後の「ソ〜」がA(イ)音で、ちょうどA=440Hzの音叉と同じ高さになります。
(いわゆる「固定ド」ではこれを「ラ」と言っているため、詞とズレます)
「ドレミファソ」部分は作詞家と作曲家の間で事前に相談したのかどうか分かりませんが、当時ごく普通にドレミが階名に使われていた証拠の一つになると思います。

では全体の階名も見てみると ……

ドードーミソソーソ ファラドラソーーー
ラソソラーソソソ ミーミレドーー
レードレミーソソソ ミソソーソーー
ラソソファ↑ドーー↓ファ ミーミソミレドーー
ドードドドドミソーー ドレミファソーーー
ミーソミドーミドソ ド レ ミ ファ ソーー


まず、童謡といえば定番?のヨナ抜き音階でなく、ファがたくさん使われていることが目を引きます。(シは無いですが)
冒頭、ドミソ和音を駆け上った次の「ファラドラソー」は、シューマン「楽しき農夫」にも全く同じものが登場します。
「楽しき〜」に日本語歌詞をハメた大正時代の唱歌については、以前こちらで記事にしました
器楽的な音型なので子供に歌いやすいとは思えませんが、背後に「ファラド」の和声を感じるのが良い音程で歌うコツでしょうか。

さらに4行目の「ファ↑ドーー↓ファ」、これもすごい!
ファから5度上がってまた戻る、ファから大きく跳躍するのは難しいのに ─── でもここがこの曲の山なんですよね。
凡百の童謡にこんな動きはなく、私がこの曲を好きだったのも、ココが気に入ってたからだと思います。
というか、私は長調の階名では「ファ」と「ラ」が好きなんですね。
この2つが活躍する曲に、ハマる傾向があるんですよ(笑)。
「すかんぽ〜」では、ラはさほど特徴的な使われ方をしてませんが、その分ファがいい仕事してると思います。

最終行、前半はホルンやトランペットを連想させる、ドミソだけのラッパ音型で、歌詞「夏が来た来た」とのコンビネーションがとても爽やかな印象。
そして「ドレミファソー」とソ終わり…! これも珍しいです。
「ドミソ」や「ファラド」など、和声から直取りした西洋音楽的な旋律が目立つ中、最後くらいは西洋音楽の定石を破ってやるぞ、とでも思ったのでしょうか?

私はこの曲を、小学生の頃家にあった童謡のLPレコードで知りました。
その録音では「小学尋常科」の部分が「小学一年生」と歌われていたように記憶しています。
当時まさしく通学路の途中、線路脇の土手にすかんぽがたくさん生えていて、そこでよく遊んでいたため、この曲の情景はとても身近でした。
これとセットでよく歌っていた「みかんの花咲く丘」が、新潟県(柑橘類が育たない)に住んでいた自分には、どこか異国の光景だったのと対照的。
この歳になって、近所の土手(笑)を歌った童謡が、畏れ多くも北原白秋&山田耕筰という超大者コンビの作品だったと知り、正直驚いています。
しかも最後が階名で終わってるなんて!
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「J-POP進化論」の階名パワーは空回り?

2017/04/20 21:27
ふと思い立って、本棚のJ-POP進化論という本を読み返してみました。
階名を使い、日本人が持つ土着的な音楽感覚と大衆音楽の関係や、洋楽の影響などを論じていた記憶があったからです。


序論に相当する第1章、安室奈美恵《Can You Celebrate?》の旋律を例に上げる際、さっそく「階名で言えば…」という表現が使われています(11ページ)。
その後16ページと115ページ、計3回「階名」という言葉が出てきますが、今私がこの本を読み返してみて驚くことは、筆者の佐藤良明氏(1950年生まれ、米文学を専攻した表象文化論の教授で、音楽の専門家ではありません)が、ごく当然のようにドレミを階名に使っており、またその用法や音楽の捉え方が世間でも普通だと思って本全体を書いていることです。

まず、階名とは何ぞや?なる説明が(良くも悪くも)ありません。
「移動ド」という言葉も出てきません。もちろん「固定ド」も無し。
「この本ではドレミを(音名でなく)階名に使います」という断り書き?さえなく、文中にドレミが使ってあれば全て階名、一方で音名は英語のCDEで、階名と音名に違う言葉を当てるという使い分けも明確です。
(す…素晴らしい!!!)
そして学校で「長調の曲は主和音を構成するドミソのいずれかの音で始まる」と習ったのだそうです。
おそらく著者は、(音大などでなく普通の)学校で階名を教わって、それは音楽の専門家でない自分でも常識的な音楽認識方法なのだから、この種の本を手に取る人であれば何ら説明の必要はない、と信じて書き進めていたと思われます。

私が学校やクラシック系の音楽教室で「固定ド」が猛威をふるっている現実を知り大ショックを受けたのはつい去年のことで、自分はずっと階名的に音楽を聴いてきたため、この本を買って読んだ2000年当時、その書き方には何の疑問も危惧も感じませんでした。
それどころか、こういう観点から「日本のうた」を分析した本をかねてから待ち望んでおり、それが手軽な新書で出版されたことが嬉しくて、「ふむふむなるほど、それで次は?」とかなりコーフン(笑)しながら夢中でページを繰っていた記憶があります。

しかし階名が絶滅危惧種であると知ってしまった現在、この本を読むと「こ…これは痛い!」─── 著者でなくても冷や汗が出ます。
例えば最初に譜例が出る17ページ、ト音記号&ヘ長調の楽譜の第2線上に並ぶ16分音符が、本文で「レレレレ…」と表現されています。
著者はここで定石を外れた「レ始まり」の旋律に注目してるのですが、「固定ド」一辺倒の人なら「何これソソソソ…じゃないの?」となるでしょう。
またこの曲では、コードネームの「B♭」が「ヘ長調のファラド」と、これまた当然とばかり階名で説明されています。
コードネームを知らなくても和音の働きがイメージできて便利なのですが、これも「固定ド」の人には全く意味無というか、コードネームを知っていたらばミスプリか著者の誤記だと勘違いするでしょう。

1999年初版ですので最新の本ではありませんが、かといって大昔の本でもありません。
出版当時すでに「固定ド」は普通だったはずで、この本のドレミの使い方に異議をとなえている人がいるかも?とAmazonのカスタマーレビューを見たら、「移動ド(階名)」「固定ド」以前の、「楽譜が読めない」「音楽の基礎知識がない」と称する人達が、容赦なく低評価を付けていて愕然としました。
(学校の音楽の授業って何やってるんですかね〜〜〜?)
タイトルにJ-POPとあるせいで、クラシック音楽系の人はあまり読まなかったのでしょうか、少なくとも現時点でドレミ階名に文句を言っている人はいません。
とはいえ「階名の説明が面白い!」という評価もなく、もしかして文中の「階名」という言葉に何の注意も払わず、その意味も考えずに読み進んでしまった人が大半だったのかもしれないです。

この本は、土着的な5音音階に親しんできた日本人が、明治以来の音楽の西洋化の中で、四七抜き長調・四七抜き短調・ニ六抜き短調などの音階を経てどう現在のJ-POPまでたどり着いたのか、表面だけ聴けば音楽はずいぶん「西洋化」したけれど、腹の部分ではどうなのだろう?等を、実例を多数あげながら論じているものです。
そして考察の基本ツールとして使われているのがドレミを使った階名です。
だからもし「先生あのですね、実は『固定ド』というものが…」などと著者に話そうものなら、去年の私以上に大ショックを受け、1ヶ月くらい寝込んでしまうかもしれません…。

著者の説が正しいかどうかはともかく、階名パワー大爆発!の今どき稀有な本ですので、興味のある方は(もう中古だけですが)ぜひ読んでみてください。
特に第4章《腑におちるメロディ ─── #をめぐる「ソ」の攻防》は、再読した今回も非常に面白かったです。
短調曲において「ソ」があるか無いか、もしあるならただの「ソ」かそれとも半音上げるのか?
たったこれだけのことで、昭和初期からJ-POPの時代まで、大衆音楽の歴史が語れちゃうって…!?
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苦手だったダブルシャープが階名唱で解決!

2017/04/14 22:20
ピアノを弾いている皆さん(もしかして他の楽器をやっている人も?)、ダブルシャープ(重嬰記号)って嫌じゃないですか?



これがたくさん出てくる曲は、譜読みに苦労しますね。
気をつけているのに何度も弾き間違えたりとか…。
例えばこんなブログ記事も見つかります

少し前まで私も同様でした。
ダブルシャープ付きの音がどうにも弾きにくいので、「重嬰ヘ音だったら結局ト音を弾くのだから」…と、その音符をマルで囲って横に「G」(私は楽譜に音名を書く時ドイツ語を使っています)と書いたりしてたのですが、余計に弾きづらくなるんですよ。
ついついそこで指が止まってしまいます…

そんなんで困っていたある時 ────
ベッドに寝転がって新曲視唱の本を階名で歌っていたら、嬰ハ短調だったかの課題で、ダブルシャープが…
「あ、とうとう出てきた嫌なヤツ!ええと、ええと…」
私はいつもピアノを弾いている時のように音を取ろうとしました。
すなわち ─── 変化記号がつかない元の音(幹音)を考え、それを「半音+半音」上げる、すると隣の鍵盤になるんだからええっと…
しかし何かおかしい、というより全然できない!?
しばらくして「あ、違う!そうじゃない、ああ〜〜分かった!」

上げる「半音+半音」のうち、最初の半音はもう調号で上がっている!
階名唱は、すでにその調の音階上で歌っているのだから、あと半音上げるだけでいいんだ!


幹音にわざわざ戻していたから、ワケがわからなくなっていたのです。
「半音上げる」だけなら、単にシャープがついた音を歌うのと要領は同じこと。
なぁ〜〜〜〜〜〜んだ!!カンタン♪♪♪

さあ、ここまで分かったら、後はピアノ演奏にも応用するだけです。
それで以下のように考えました。 例えばロ長調の時…

ロ長調で使う鍵盤セットを意識し、音感的にもその音階に「乗って」、ダブルシャープがついた音はその半音上隣を弾く

日頃から音階練習しておくことの大切さが分かります。

これだけでも十分効果的ですが、さらにスムーズに弾くために…

ダブルシャープが付く音の声部、その前後を何度も歌ってみる

歌い覚えてから弾くと、指が自然にその鍵盤に行きます。

なお後で気づいたことですが、音階の中で使われている「嬰ヘ」を半音高くする時に「嬰+嬰ヘ」⇒「重嬰ヘ」とするのであって、「重嬰ヘ」は「ヘ」を「半音+半音」高くした音と考えるのは音楽文脈的に誤りです。
(そう考えるから分からなくなるんですね)


以上でダブルシャープ問題、完全解決しました!
もちろんダブルフラット(重変記号)も、同様の考え方で「下げる」だけで行けます。
しかしこの方法、階名(移動ド)唱に親しんでいないと、説明されてもピンと来ないかも?
だ・か・ら 器楽だって階名の学習が重要なのです!!!!

補足)鍵盤楽器では「重嬰ヘ」は「ト」と同じ鍵盤を弾きますが、前者は「嬰ヘ」が半音上がったものであり、「ト」とは別の音です。
便宜上やむを得ず、鍵盤を共用しているだけと考えてください。
(この意味・感覚は、音律や階名唱を勉強すると非常に良く分かります)
それを踏まえず「重嬰ヘはトの鍵盤を弾く」(「固定ド」なら「ファのダブルシャープはソを弾く」)と、非音楽的な変換をして考えるから難しい&弾きにくい⇒苦手になるのです。
「重嬰へ」を音として直接イメージすることが、問題解決の鍵になります。
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階名は12倍速で音楽がわかる!(音名比)

2017/04/11 21:26
以前こちらの記事で、長調の旋律は大部分ド・ミ・ソいずれかの階名で始まる、と書きました。
もちろん世の中には楽譜や音源がある長調の楽曲だけでも数は膨大で、意識的に例外を探せばレ・ファ・ラ・シ始まりだって相当数になるでしょう。
しかしメンツ3人のドミソが4人のレファラシより圧倒的多数なことや、このドミソが長調主和音の構成音と考えると、音楽的に十分有意味な知見です。

ところが、これを私はいつどのようにして知ったか全く記憶にないのです。
先生や大人から教わったのでも、本で読んだわけでもありません。
強いて言えば、小学生の頃からそれはもう当たり前のことで、この程度のことは多少音楽好きな人なら誰でも分かっていると思っていました。
それをわざわざ記事にしたのは、階名を知らない人が今の日本にはたくさんいるという衝撃の事実!(私にとっては天地がひっくり返るようなショックでした)を知ったからです。

では次の例。
日本の唱歌や童謡で多用されているヨナ抜き音階(階名のファとシが無い ── 追記:この場合、正確には「ヨナ抜き長調」)ってありますね。
この用語は小学校高学年くらいの時、父から教わったものです。
その時私は即座に「ああ、アレかぁ!」と、氷解した謎がありました

幼稚園から小学校低学年の頃、木製の鍵盤に白い紙が貼られ、黒鍵は無くその代わりに鍵盤と鍵盤にまたがるように黒い太線が印刷されているだけの、おもちゃのピアノが家にあったのです。
白鍵しかない(!)ので、まあハ長調階名ピアノのようなものです。
私はそれで聴き覚えた童謡の旋律などを弾いて遊んでいました。
そのうち、ある特定の鍵盤を常にとばす曲が結構あることに気づいたのです。
使わない鍵盤は2つあり、そのうち一方は白い紙がだいぶ剥げて、白鍵ならぬ茶鍵(笑)のようだったことまで今でも鮮明に覚えています。

「使わすにとばす曲」は、音を間違えることが少なくて簡単に弾けるなあ…
だけど、どうしていつも「とばす鍵盤」が決まってるんだろう???
    ──── それが階名「ファ」と「シ」だったんですね。

もうひとつ!
その後ポピュラー音楽に目覚めた私は、高校の時「実用ピアノ コード・ブック」なる本を買ってきて、コードネームの勉強を始めました。
本の最初の方にはコード理論の基本が載っていて、お決まりの I(トニック)、V(ドミナント)などの説明があります。
そのような和音記号や用語はその時初めて知りましたが、私は無意識のうちに「トニックってのは要するにドミソ和音で、ドミナントはソシレだな」などと階名になぞらえつつ読んでいました。
するとそこに衝撃の記述が ──── !

ドミナントは不安定なコードなので、トニックに解決します

え!?これって当たり前じゃないの?
説明されて初めて「なるほど」って思う人がいるの??!
自分には本能がそう仕向けるとしか感じようのない進行なんだけど!?

コードの機能や進行パターンの表も載っていましたが、日本人が日本語の動詞活用表を見るバカバカしさみたいなものがありました。
この程度のことなら「勉強」しなくても、もう耳で感じ&判断できていたわけです。

自身の経験から3つ例をあげましたが、いずれも階名(あるいは階名的な音楽の捉え方)ならではの気づきだということに注目してください。
音楽を音名(=音高)でしか把握してない場合、「固定ド」を使うと1番目の事例では「ハ長調はド・ミ・ソ」「ニ長調はレ・ファ#・ラ」「イ長調はラ・ド#・ミ」「変ロ長調はシ♭・レ・ファ」(この調子で12種類)…で始まる旋律が多いことになりますが、これでは煩雑で何も気づかないか、気づいたとしても知見として意味があるのか微妙です。
階名ならば、12ある長調の音高の違いに影響されず、長調の旋律や和声に共通するパターンを簡単に抽出できます。
しかもこの種の気づきの大部分は、階名耳を持ってさえいれば音楽を聴いているだけで起こるんですね。
楽譜を見て研究する必要などないのです!

単純計算すると、階名なら音名の12分の1のサンプル曲数で、何らかの音楽的気づきがあることになります。
これが12倍速!の意味です。
8歳で階名音感になった子供が9歳の頃には気づくことが、音名音感の人では20歳頃ようやく気づくか、気づいても無意味…?

子供を音楽好きにさせたいのなら、ピアノなんかより階名教えた方がずっと良い、とにかく階名を叩き込んで(笑)さえおけば、あとは楽器演奏だろうと作曲だろうと面白がって勝手に色々やりますよ、と自分の人生を振り返って強く思います。
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マーサ・ミアー《ピアノ ジャズタイム》続編〜Book4

2017/04/01 17:54
以前紹介したマーサ・ミアー《ピアノ ジャズタイム》(全音)の続編に当たる、Jazz, Rags & Blues Book 4 から何曲か弾いてみました。
こちらは現在のところ輸入楽譜(なか見検索!で少し閲覧できます)のみで、ラグ2曲、ブルース3曲、その他4曲を収録、捨て曲なしのクオリティはさすがです♪♪♪

「タキシード・ジャズ」…Youtubeでは男の子&男性に大人気!


★ンチャ〜♪のリズムが肝。中間部分から主題に戻る経過部にもう一工夫ほしいが、ンチャ〜♪がカッコ良いので全て許します(笑)。

「ジャクソン・ストリート・ブルース」…郷愁を誘う、明るめブルース


★左手の動きが大きいのに加え、似ているけど少し違う箇所でミスしやすく、ゆったりしたテンポの割に難しい曲。

他に…「ミスター・トランペット・マン」、「ケイティーズ・ダンス」(フォルテピアノ音)、「グッド・タイム・ラグ」(アップライト・ピアノ音)

《ピアノ ジャズタイム》では、「いつまでもこのリズムにのって」から「栄光の日」までの10曲がBook3の収録曲で、米国版の難易度表示は「Intermediate to Late Intermediate」でした。
続くこのBook4は「Late Intermediate」で、分散オクターブや片手4和音の増加、(特に左手の)大きな跳躍など、いくぶん技術的に難しくなっています。
目安としては、Book3の「気らくにいこう」「レールロード ストリート ブルース」「ベースのブギ」「海辺のジャズ」あたりがある程度余裕を持って弾ければ、Book4も楽しめると思います。
1曲仕上がるまでの練習時間が少し長くなるくらいでしょうか。
《ジャズタイム》で少しずつ親しんだジャズ特有の音階やリズム、和声が基礎にありますから、その応用編といったところですね。

米国の「Late Intermediate」は、日本の「ソナチネ程度」に相当します。
しかし曲のジャンルと書法が全く違うため、日本の一般的なピアノ教材で学習してきて現在ソナチネの人がいきなりこのBook4を弾くのは、読譜・技術・表現力など全ての面でかなり難しいと思います。
その場合は、バイエル終盤レベルの曲から収録されている《ジャズタイム》で、弾けそうなものを何曲か経験してからの方がいいでしょう。
急がば回れです。

私もジャズに関しては基本的に門外漢なのですが、色々と弾いているうちに何となく要領が分かってきました。
そして「ジャズだから…」と特別に考えるより、ジャンルが違っても共通することを意識して練習すると、良い勉強になると思います。
「欲しいイメージの音を出す」「旋律は十分歌って」「山場を印象的に」「メリハリをつける」「曲の魅力が伝わるように」などは、ジャズだろうとクラシックだろうと同じです。
こういうものを弾くとクラシックの勉強に悪影響が出る(少し頭の古いピアノの先生が言いそうなことですが)ということは全く無いのでご心配なく。
むしろバッハやツェルニー等よりロマン派や印象派のピアノ曲と近い面もあり、何より新鮮で楽しいので実力アップにもつながるはずです。

えっ!?左手でこの音とこの音、右手でコレとコレとコレ?
(弾いてみる)
何このヘンな響き!こんな和音初めて!!
(でも前後とつなげてみると…)
うわッ!…めっっちゃカッコいい♪♪♪


ジャズって面白いです(^ ^)♪
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ヘンデルと(戦慄の右脳改革)音楽箱 2017年4月のブログ記事/BIGLOBEウェブリブログ
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