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zoom RSS 階名から見た「ファのおはなし」三善晃

<<   作成日時 : 2016/12/11 20:18   >>

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前回の続きで、「固定ド」タイトルのピアノ曲、三善晃さんの「ファのおはなし」を階名(移動ド)の観点から見てみようと思います。
ほとんど2声の緩やかな曲なので、階名音感の人なら楽譜なしでもすぐ階名認識できますね。



(以下、ドレミ…は階名です)
まずミ↓ソ↑ミ〜〜〜♪という、6度下がってまた上がる出だしです。
一般的な旋律(特に歌モノ)は大部分1〜5度の音程でできており、6度以上は大きな跳躍と考えていいと思います。
その6度では、ソ↑ミの上行ってすごくよく出てくるんですね!
ソは4度上がって主音のドに行きたい性質を持っていますが、そのドを通り越して一気にミまで上がるので、とても明るく決然としたイメージです。
もっともこの曲では、ミからソへ6度下がってまた上がる、行ったり来たりになっていますが。
ではここでクイズ…ミ↓ソ↑ミで始まる有名な旋律、何か知っていませんか?
私はとりあえず2曲思い出しましたよ ───(答えは記事の最後に)

この2曲はどちらも、ミ↓ソ↑ミの後に順次進行が続きます。
大きな跳躍と順次進行をセットにしてバランスを取る、非常に良くある旋律の作り方です。
しかし「ファのおはなし」は、ミ↓ソ↑ミーー↓ソ↑ミーー↓ラ↑ミ↓シ↑ミ↓ド…と、跳躍が続くんですね。
そこで何度も出てくる「ミ」以外の音に注目すると、「ソ・ソ・ラ・シ・ド」と動いていることに気づきます。
ほんとは、ソはすぐにでもドに行きたいんですよ(笑)。
でもそれじゃ「おはなし」がすぐに終わってしまいますね!
だから一歩一歩階段を登るようにドまで行くのです。
この部分、ミの連打とそれ以外の音、右手で弾く中に2つの動きがある(つまり2声が隠れている)ことを意識して演奏する必要があるでしょう。
ミ↓ド↑ミ↓レ…と、上行してきた音がミに近づくと、今度はミ↑ソ↓ミーー↑ラ↓ミーーと、ミとファを跳ばしてさらに上行します。
(ここまでの旋律で階名「ファ」だけが登場しないのは、題名を考えると全くもって皮肉なことです)

さて次、曲中たった唯一の臨時記号#が、階名ファの音に付いています。
これは非常に良くあるパターンで、ここは1番カッコだし普通なら属和音で半終止して冒頭に戻る…と考え、「ファ#」に派生音の読みを当てて(私は「フィ」としています)他はそのまま読むのですが…



何かヘンなんですよね、これだと……というのは、今まで「ミ」に聴こえていた嬰ヘ音が、ここでは全然「ミ」に聴こえないんですよ!
(階名音感者ならそう思うはず)
ここで一体何が起きているのか…!?
こういう時に私が最近よく試しているのは、前と切り離してその部分だけ階名認識してみることです。
(楽譜から楽典的に調判定することも出来ますが、どういう曲か分かっている場合なら、音感で階名をアテる方が早くて面白い)
するとこういう↓↓↓階名なら、違和感ないと気づきました。



嬰ヘ音が「ラーーー」と伸びていて、フレーズにも区切りがついています。
ラは短調の主音…そうです、ここは嬰ヘ短調になってるんですね!
つまり原調のニ長調から、最も良くある属調・イ長調への転調でなく、さらにその平行調の嬰ヘ短調 ─── と、1回半ひねり(笑)くらいしてるんです。
どうりでここは、最初にこの曲を弾いてみた時、妙に弾きにくい箇所でした。
指がどうこうの問題でなく、転調に耳がついていかないと「あれ?」ってなるんですよ。
しかし調に合わせて階名を読み替え、それで一度歌ってみると、急に弾きやすくなるのです!(←ホントですよこれ♪)
そしてここは、順当に進んできた「おはなし」に少し暗い影がさす(短調の中間部分の伏線?)箇所ですから、そのつもりで演奏しなければなりません。

冒頭に戻った後、2番カッコはニ長調のままで、34秒〜から中間部分(平行調のロ短調)に入ります。
右手旋律は「ドラドレドシラミ…」と、短調になると何故かよく沸いて出て来るシラミがさっそく登場(笑)。
長調、短調、それぞれに特徴的な階名の並び方があるのは、とても興味深いことですね。
左手低音の動きを見てみると、「ミーファミレドシ」の次に「ラーソファミレドシラー」と主音から1オクターブ順次下行し、そこから一気に2オクターブ!上がって、また「ラソファミレドシラソファミーーレーードーー」と、今度は長調の主音ドで止まり、ニ長調の主題にダル・セーニョで戻ります。
この短調⇒長調の移行部分は、とてもスムーズで美しく、この曲の隠れた聴かせどころではないでしょうか。

以上に書いたことは、いわゆるアナリーゼ(楽曲分析)の一種で、説得力のある良い演奏をするために必要なことです。
つまり階名はアナリーゼの強力なツールなのです。
しかも階名キャリアが長い人なら、いちいち考えなくても旋律や和声の動きから直感的に「どう演奏するべきか」分かる(少なくとも私はそうです)ことも多く、特に「歌うように演奏する」センスを磨くには、階名ほど役立つものはないと感じています。
しかし同じドレミでも、「固定ド」に全くこの効果はありません。

ですから ────
・歌いやすく覚えやすいドレミを、音楽的に無意味な「固定ド」に使うのはもったいない
 (音名にはハニホやCDEを使えばよい、と何度も書いている通りです)
・「器楽は『固定ド』が便利」(=階名は学ぶ必要がない?)という考えは全く皮相的
…であると強く考えています。

【クイズの答え】
エルガー「愛の挨拶」 ── ミーソミレドシド…
「ハイケンスのセレナーデ」 ── ミソミーファミレー…

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