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zoom RSS 「エリーゼのために」真実の姿

<<   作成日時 : 2011/02/17 06:25   >>

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ベートーヴェンが愛した音律、キルンベルガー第2法(以下「II」)で演奏した「エリーゼのために」です。
(19世紀後半の、ブライトコプフ&ヘルテル社の楽譜に拠っているので、現在流布している版とは音の違い等があります)




・・・何というほの暗い響きでしょう・・・!
イ短調なので、決して明るい曲でないのは平均律の演奏でも分かりますが、こんなにもの悲しい曲だったとは!
これにはちゃんと理由があります。
「II」では、イ短調主和音の5度「A-E」が狭いため、強打すると「うなり」が生じて耳障りです。
(記事最後のサンプル音源参照)
そこでピアニシモの指示に従い「そっと」弾くのですが(特に左手)、音程が狂っているので響きが濁り、曇った感じになるんですね。


一方、中間部分で長調になる箇所は、急に別ピアノのように澄んだ響きになります。
たった4小節しかないハ長調部分、右手32分音符のパッセージは、まるで真珠の粒を撒き散らしたような輝きですが、これは「II」がハ長調純正律の「はしくれ」であり、最も美しく響くのがハ長調だからです。
しかし一瞬光が差したその後すぐに、暗いイ短調の世界に戻ってしまいます・・・この対比にドラマを感じるのは私だけでしょうか?

今回使った楽譜には、冒頭と後半の右手三連16分音符の箇所に「pp」とあるだけで、他には強弱記号が一切書かれていません。
しかし、「II」音律で鳴らしながら打ち込みを編集していると、自然に「どう演奏すればよいか」分かる感じがしました。
音律の響きが、演奏のヒントになるのです!

また終止音が、A音のユニゾンなのに驚きましたが・・・。
(現在流布している版では、C音を加えて「和音」になっているのが多い)


これも「II」を理由に説明が付きます。
ベートーヴェンは、短3度が純正でない時、一緒に純正5度を鳴らせば「美しく」聴こえることを知っていますが、「II」のイ短調では主和音の5度「A-E」が狭いので、この技が使えませんね。
終止和音が濁るのは何としても避けたいので、主音のユニゾンで終わったのでしょう。
ベートーヴェンのピアノ曲というと「不協和音をブッ叩く」的な印象が強いですが、彼は稀に見る純正音程至上主義者であり、特に終止和音には異様なほど気を使っているのです。
(今回、ピアノソナタと「II」の検証で、痛いほど感じたことです)


キルンベルガー第2法の、ハ長調音階(「ミ」が低く感じられることに注意)
主和音&属和音、D-A と A-E の狭い5度



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コメント(8件)

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すみません、夕方にコメント入力したのですがシステムに拒否されてしまいました(泣)ので、テスト入力させてくただい。
koten
2011/02/18 21:06
初音ミクにかまけていたら、エンリケさんだけでなくREIKOさんまでもが古典調律関係の記事を書いていたとは・・REIKOさん、御願いですから古典調律関係の記事を書いたら速攻で私のブログのコメント欄で激しく宣伝しちゃってくださいよ、御願いしますよ。
(すみません、また「コメントスパム判定」で拒否されてしまうので、何回かに分けてコメントしますね。)
koten
2011/02/18 21:14
 本題ですが、あれですよね。前に少し触れましたが「楽譜改変」問題、これも何とかしないとアカンですよね。「理科年表改変」問題もそうですが、楽譜も勝手に改変されると「分かるものも分からなく」なってしまいますよね。もうぅーーークラシック音楽業界、問題多すぎ(爆泣)。

 「エリーゼのために」の拍頭の最低音部(記事本文のものだとA音とかE音とか)って、楽譜によっては「(タイや○分音譜を使って)長く伸ばす」ように書かれた版とかありませんでしたっけ? そのように表記されてしまうと気付きにくいですよね、「KBUが想定されている」ってことが。
 記事本文の様な楽譜表記だと、「ん!? なんで「拍頭の重要な音」なのに「伸ばさない」ように表記されているんだろう?」って、「分かる(勉強が進んでいる)人は気付くことができる」表記になってますよね。
koten
URL
2011/02/18 21:16
平均律は短調と長調が強調されるという説(3度の長短の拡大)がありますが,そんなのクソクラエというインパクトですね。
音律によっては,調による響きの違いというのは,実は分りやすいことなのですね。(長短はもちろんですが,長調間・短調間でも)。
Enrique
URL
2011/02/18 21:40
>音律の響きが、演奏のヒントになるのです!

本当にそう思いました。今まで調の感覚がない自分は耳が悪いのだろうと思い込んでいましたが、本来わかりやすいものだったのですね!
Cecilia
URL
2011/02/19 09:01
kotenさん、

>「コメントスパム判定」で拒否されてしまうので
大変ご迷惑をおかけしました。
「調教」が禁止語設定になっていて、それに引っかかっているのだと思います。
この「禁止語」リスト(モノスゴイ単語が多数羅列!)はWebryブログの初期設定なんですが、以前も「調教」ではじかれた方がいたので、先ほど禁止語リストから外しました。
今度は大丈夫(というか、このコメント自体が大丈夫なので)のはずです。

>「楽譜改変」問題
残念ながら、有名&人気曲ほど、色々といじくりまわされているようです。
「エリーゼ〜」は、子供の頃から使っている楽譜も手元にありますが、何だかたくさん書き加えてありますね。
今回使った楽譜は(IMSLPにあったんですが)「エリーゼのために、1810年4月27日の思い出に」という付記もあるので、オリジナルに近いものと思いますが、こんなにシンプルだとは知りませんでした。
後半の右手三連16分音符の分散和音の箇所にも、(KBIIでは濁るので)「pp」の指示がありますが、この部分が「f」になっている楽譜もあった気がします。
(事実、ダウンロードしたMIDIファイルで、ここを「いかにもクライマックス」的に、派手に弾いているのがありました)
KBIIを知っていれば、何故ここが「pp」なのかがよ〜〜〜く分かるんですけどね・・・。
REIKO
2011/02/21 02:13
Enriqueさん、

>平均律は短調と長調が強調されるという説
確かにミーントーンと比べれば、平均律は長調と短調の違いが分かりやすいと思います。
キルンベルガーIIでは、純正五度が並んでいるピタゴラス律領域が、平均律よりもさらに長調と短調の差が大きいです。
(バカ広い長三度とバカ狭い短三度のため)
ただ、この「エリーゼ〜」での長調と短調の違いは、これとは少し原因が違うでしょうかね。
A-Eの五度が狭いので、「響きがくすんでいる」⇒「暗い」と感じるのだと思います。

>調による響きの違いというのは,実は分りやすいことなのですね
そうですね、このように「極端な」音律でそれに気づくと、他でも色々分かってくると思います。
REIKO
2011/02/21 02:24
Ceciliaさん、

>本来わかりやすいものだったのですね
私もこの「エリーゼ〜」で、ここまで長調部分と短調部分で差が出るとは予想してませんでした。
元々はそういう比較よりも「狭いA-Eが頻出するけど、大丈夫かな?」と確認するために鳴らしてみたんですが・・・。
すごく綺麗なハ長調部分が、ほんの一瞬なのが悲しいです。
この曲は根底にエリーゼ(テレーゼ)嬢との恋愛があるようですが、結局成就しなかったんですよね、それを象徴してるような。
REIKO
2011/02/21 02:29

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