ヘンデルと(戦慄の右脳改革)音楽箱

アクセスカウンタ

zoom RSS ベートーヴェンが愛した音律

<<   作成日時 : 2011/02/13 02:36   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 11

お久しぶりです・・・実はベートーヴェンのピアノソナタを古典音律で鳴らす実験をしていて、クラシック音楽の常識が根底からくつがえる驚愕の事実(「事実」と私は確信しています)を発見し、そのウラを取ったり関連の検証に熱中して、更新できませんでした。
この過程は、kotenさんのブログ「ミーントーン大好き!」のコメント欄に書かせていただいたのですが、あちこちの記事に分散していて読みにくいので、こちらでも思考の過程をまとめておきたいと思います。

・・・まずは論より証拠、以下のベートーヴェン「月光」第一楽章(嬰ハ短調)を聴き比べてみてください。
(お時間のない方は、それぞれ最初の1分くらいだけでも)
どちらも「演奏は同じ」です。
A


B



ごくわずかの差なんですが、何かが決定的に違い、Bの方が圧倒的に美しいと感じるはずです。
この二つは音律だけが異なり、Aは現代ピアノでおなじみの平均律、Bはキルンベルガー第二法(有名な第三法ではなく)という、現在では忘れ去られているような音律です。

Bの方が美しい理由は ─────
1.キルンベルガー第二法(以下「II」とします)が元々、純正な音程を多く含む美しい音律だから
(平均律には、オクターブ以外に純正音程がありません)
2.ベートーヴェンのピアノが「II」に調律されており、彼はその響きを聴きながら作曲しているから
───── です。

今回さまざまな観点から、ベートーヴェンが生涯に渡り「II」のピアノを使って作曲し、少なくとも彼のピアノソナタは「II」で演奏して初めて、その真の姿を現わすことを確認しました。
(ベートーヴェンは晩年耳が不自由になりましたが、最後まで彼の脳内で響いていたのは「II」の音律であると思われます)
「II」は美しい反面、二つの狭い五度という弱点も持っており、使いこなしが難しい音律です。(末尾の五度圏サークル図参照)
しかしベートーヴェンはこの音律に果敢に挑み、「悲愴」「月光」「熱情」などの後世に残る名曲を生み出しました。

そして「II」攻略法を満載した、ベートーヴェンのピアノソナタに学んだシューマンやショパンも、「II」を愛用したようなのです。
つまり、19世紀のピアノ音楽は「II」抜きには考えられない・・・というところまで分かってきました。
「II」は、ピアノが非常に美しく鳴る音律なのです!

19世紀の本格的ピアノ曲で、変ニ長調だの嬰ハ短調だの、やたら#や♭の多い調が好まれているのを不思議に思ったことありませんか?
答えは簡単、これらは「II」の弱点である二つの狭い五度を避けるための措置だったのです。
さらに、バダジェフスカ「乙女の祈り」が変ホ長調なのも、ショパンのエチュード「黒鍵」が(嬰ヘ長調でなく)変ト長調なのも、ブルグミュラー25の練習曲に(#系は3つのイ長調までなのに)♭4つの変イ長調「舟歌」があるのも、全て「II」を理由に説明が付きます。

子供の頃から鍵盤音楽が好きだった私ですが・・・長年の疑問が一気に氷解して、何か呆然としているような状況です。
誰も教えてくれなかった、どんな本にも書いてなかった、およそ人気のあるピアノ曲がほとんど「II」で作曲されていたなんて・・・!


<しばらくこのキルンベルガー「II」音律に関する記事が続きます>

ヘンデル何でも掲示板 ★     ★ Twitterやってます

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(11件)

内 容 ニックネーム/日時
楽しくてかつ勉強になる話をいつも楽しみに読んでいます。
今回の記事の話、なんか凄い発見のようですね。ひょっとしてベートーヴェン以降の時代のピアノ曲の演奏慣習を劇的に変えてしまうような新たな知見だったりしませんか? 読んでてワクワクします。勉強不足で意味のあるコメントができないのが悔しいんですけど、これからも楽しみに読ませていただきます。(僕も音律で遊べるようなMIDI音源くらい買わなくちゃ・・・)
Gardellino
2011/02/13 09:40
きっと色々と打ち込みをしているのでは?と思ってました(笑)
この間、テレビでエンハーモニウムという楽器の事をやっていたのですが、
森鴎外と同時期にドイツに渡った日本人物理学者が1オクターブに音が20個あるオルガンを発明して、
ドイツ皇帝やハンス・フォン・ビューローやブルックナーに気に入られた云々という話・・
現在では1オクターブに音が40個という楽器もつくられているようで
とても所謂鍵盤楽器には見えない鍵盤になっていましたが(笑)

と話がそれましたが、
きっとそういう楽器だと解決するのかな??と良く分からないなりにおもったりしたので・・
アルチーナ
2011/02/13 13:01
どうも〜、お世話になっております。
最初、平均律の演奏を聴いて「あれ、これも結構綺麗じゃん」とか思ってしまいました(汗)。ただ、その後KBUの演奏を聴くと、やはり脳に来るもの(or脳から出る快楽物質?(爆))が圧倒的に違いますね。平均律だと途中で飽きてくるというか中盤くらいで「長いなこの曲、もういいや(汗)」って感じになるのですが、逆にKBUだと「これずっと聴いていたいわ〜」感が湧き出てきますね。和音が綺麗ですしね。 同じ時間の演奏であっても「時間の感じ方(時間の過ごし方?)」が全く違っちゃいますよね。
koten
URL
2011/02/13 16:37
最近またPCから音声が出なくなって、聞き比べができません。悔しい。
そうか、KBIIで聞くとベートーベンも飽きないんですね。。。
ベートーベンの曲ってしつっこいのが特徴なので、弾いてても飽きてくる。
だから、この数小節はしょったらいい曲になるのに、とか、また同じ
テーマだけど、もう弾いたからこれいらん、とか思えてしまって。
わたしのピアノも簡単に調律が変えられたらいいのに。。。
今度、調律師にこの件持ちかけてみますね。
レイネ
URL
2011/02/14 00:42
kotenさんのところでのホットなレポートを読んで驚愕していました。
明らかに音がクリアですね。生楽器だったらつくお値段が全く違いそうです。
黒鍵に関しては,技術的に弾きやすいというのが理由かと思っていました。「猫ふんじゃった」もキルンベルガーIIの方がいいのかも?
Enrique
URL
2011/02/14 12:46
Gardellinoさん、

>ひょっとしてベートーヴェン以降の時代のピアノ曲の演奏慣習を劇的に変えてしまうような新たな知見
・・・・そうなんです、ちょっと自分でも驚いてるといいますか、「パンドラの箱」を開けてしまったような気もして、恐れおののいている感もあります。
とにかく「ピアノ=平均律」がはびこっていますし、古楽の分野でもベートーヴェンや19世紀のピアノ曲は、かなり「平均化された不等分律」で作曲されたと思われています。
私も1ヶ月ほど前まではそう思っていましたし、「II」のような音律でベートーヴェンのソナタがこんなに美しく鳴るとは夢にも思っていませんでしたので。
今後この点について、できるだけ分かりやすく説明していきたいと思っていますので、どうぞ楽しみにしていてください。
REIKO
2011/02/14 19:38
アルチーナさん、

>1オクターブに音が40個という楽器
>そういう楽器だと解決するのかな??
そうなんです、五度や長三度などの音程を「正しく」取っていくと、鍵盤の数が無限(に近く)必要なのです。
しかしそれでは演奏しにくいし、楽器を作るのも大変ですよね。
そこで音程のどこかを「ごまかして」、1オクターブに12の鍵盤で済むように辻褄合わせをしてるのです。
その「辻褄の合わせ方」に色々な方法があり、それが個々の音律の違いなのです。
「II」は、二つの狭い五度にその「無理」が集中していますが、平均律は全ての五度を少しずつ狭くして、「無理」を分散させています。
そのため純正な音程がどこにもない・・・のが致命的なのです。
REIKO
2011/02/14 19:47
kotenさん、

>平均律だと途中で飽きてくる
>KBUだと「これずっと聴いていたいわ〜」
超激しく同意します!(^ ^;)
私も今までこの第一楽章は「モヤモヤダラダラしてるだけで退屈・・・」だったのですが、キルンベルガーIIで聴いて初めて「こんなにきれいな曲だったのか・・・!」と心底感動しました。
楽譜見ていただくと分かると思いますが、右手上声部の「決めの音」に、KBIIで「相対的に高い音」(C、G、Dなど)が来るように書かれていて、それがすごく「効いている」のです。
もしこの曲を移調したら、KBIIで弾いてもこの効果は出ないはずです。
この曲が嬰ハ短調でなくてはならない理由が、これで分かった気がしました。
(やっぱベートーヴェンってスゴイんだなあ・・・!)
REIKO
2011/02/14 19:55
レイネさん、

>最近またPCから音声が出なくなって
それは残念です、復帰したらぜひ聴いてみてくださいね。
この「II」音律では、短調の劇的緊張感が高くて和音も美しく、ベートーヴェンの三大ピアノソナタが(結果的に)短調の曲ばかりになった理由も、これで分かったような気がしました。
「作曲者が使った音律で聴く」ことが、これほど大事とは・・・!

>今度、調律師にこの件持ちかけてみますね
この記事にコメントをお書きになっているkotenさんが、先日家のアップライトピアノを「II」に調律して、色々実験?されています。
現代ピアノと19世紀のピアノでは構造が違う(現代ピアノは平均律を前提に作られている)ので、「II」にすれば何でも問題解決とはいきませんが、体験してみる価値はあると思います。
(「II」を基本に、「調律替え」をして弾く曲もあるので、その辺が生ピアノでは難しいかも・・・)
REIKO
2011/02/14 20:05
Enriqueさん、

>明らかに音がクリア
そうなんです、MIDI音源でも「II」にすると音が変わるのがハッキリわかります。
今後もできるだけ「実際の音」で紹介していきたいと思いますが、ピアノ曲では「和音のヌケの良さ」「分散和音の粒立ち」が全然違うんですね。
同じ演奏でも上手くなったように聴こえるのです!

>黒鍵に関しては,技術的に弾きやすいというのが理由かと思っていました
私もそう思っていました。(本などにそう書いてあるので)
そしてその結果、19世紀には音律が均等化していったのだと。
これは「違う」と断言できます。
(もちろん、「II」を使わなかった作曲家や、合奏用などに不等分律で調律したピアノも多数あったでしょうが)
考えてみれば、一流の作曲家であれば(少々使いづらくても)「美しい音律」で曲を書くはずです。
「運指」なんてどうでもいいことですよ。

>「猫ふんじゃった」
あ、これはまだ試していない!(爆)
今度やってみます。
通俗曲では何と!「乙女の祈り」がこの音律で「バカみたいに素敵!(爆)」になるので驚いています。
(これもそのうち記事にしますね)
REIKO
2011/02/14 20:17
>19世紀の本格的ピアノ曲で、変ニ長調だの嬰ハ短調だの、やたら#や♭の多い調が好まれているのを不思議に思ったことありませんか?

常々不思議に思っておりました!
あたかもピアノを学ぶ生徒をいじめるかのような不可解な調の選択! くらいにしか思えませんで。
なんか大変なことになってきたのかな?
Gardellino
2011/02/21 17:51

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
ベートーヴェンが愛した音律 ヘンデルと(戦慄の右脳改革)音楽箱/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる